1月25日、お宮参り。(生後32日)

 お宮参り。それは、その土地のまもり神である産土神(うぶすながみ)さまに赤ちゃんの誕生を報告し、すこやかな成長を願う行事だ。赤ちゃんを産土神さまの産子(うぶこ)として認めていただく、という意味もある。お宮参りをするタイミングは地方によってちがいがあるが、一般的には、男の子であれば生後31日か32日め、女の子は生後32日か33日めがよいとされている。

 そうすけは、お宮参りでも親孝行ぶりを発揮した。ちょうど週末でだんなが休みのタイミングにお参りできたのだ。出産に立ち会ったときも祝日、産後のつらい時期も正月休みと重なっていたので、ほんとうにたすかった。たまたまだといえばそれまでだが、これだけ偶然が重なると、そうすけが自分の意思で選んだのではないかとさえ思えてくる。いつも、いつも、ありがとう。

 遅めの朝ごはんをたべて、身支度をととのえて、午後から家の近所の神社へ出かけた。まだ首が座っていないそうすけを、おくるみにくるんで、だんながだっこして歩いた。神社まで歩いて10分ほどかかるが、そうすけはまったくぐずりもせず、すやすや眠っていた。まっ白いおくるみのなかで、ほほえんでいるようにも見える。けがれのない寝顔だなあ。と、そのとき、だんながポツリとつぶやいた。そうすけ、重くなったなあ。いつもいっしょにいると成長したのがわかりにくい、と話していただんなが気づいている事実におどろいた。

 5分ほど早く神社に着いたが、事前に参拝の予約をしていたので、待たずに祭殿へ案内された。あいかわらず、そうすけは眠っている。しばらくして神主さんがふたり、あらわれた。ひとりは若い女性の神主さんだ。女性の神主さんがあいさつをはじめると、そうすけはうっすら目を開け神主さんをじいっと見た。が、すぐに眼を閉じてふたたび寝入ってしまった。大きな太鼓の音に泣きだすこともなく、式は無事に終わった。ほっとした。さいごに、だんなとわたしがお神酒をいただくことになり、そうすけにもお神酒を指で唇につけてあげてください、と神主さんにうながされた。だんなが小指の先にお神酒をつけて、滴をそうすけのくちびるに塗ってあげた。すると、たったいままですやすやと眠っていたそうすけが、ニッ、と笑みを見せた。はじめての酒の味を、気に入ったのだろうか。おとなになったら、親子で鍋をかこみながらビールをのんだり、刺身をつまみながら冷酒に杯をかたむけたり、パスタといっしょにワイングラスをまわしたりするだろう。20年後を、たのしみにしていよう。

 神社の帰り道、杖をついた小柄なおばあさんに、お宮参りですか、と声をかけられた。はい、そうすけといいます。と、だんなが話して、おばあさんにそうすけの顔を近づけると、とてもよろこんでくれた。さむいから気をつけてね、元気に大きくなるんだよ。と、おばあさんはわたしたちに言葉をプレゼントしてくれた。眠っていたそうすけが、もういちど、ニッ、と笑みを見せた。