1月30日、1か月健診。(生後37日)

 朝から、雪がふっている。だんだん、はげしくなってきた。まだ地面がぬれているけれど、このままふると午後には積もりそう。きょうは、そうすけの1か月健診がある。朝いちばんに予約を入れておいてよかったなあ。さくっとうけて、さくっと帰ろう。受付を済ませると名前をよばれるまで待つ。小児保健部のロビーにいちばんのりをしたが、10分も経つと診察待ちの親子たちでごったがえしていた。お父さんとお母さんに連れられてやってきた1歳くらいの男の子が、近くを歩きまわっていた。歩くのがたのしくてしかたがない様子だ。わんぱくで、たのもしい。お父さんがあわてて、追いかけている。

「かんべそうすけさーん」
そうすけの名前がよばれた。そうすけの診察カードを出して、そうすけの名前がよばれる。たったこれだけのことにも、胸がじわっとあつくなる。一人前になったもんだ。まずは体重測定から。身につけているものをぜんぶ脱いでくださいと看護師さんにうながされ、服もおむつも脱いだ。デジタル式体重計でチェックする。3940グラム。1日あたり45.9グラム増。とても順調です、といわれて、ほっとした。体重のふえ方は、1日あたり30グラムから40グラム増が目安になる、といわれている。なかなかいいペースだ。

 助産師さんによるチェックがひととおり終わったところで、なにかききたいことはありませんか、ときかれた。母乳をあげるタイミングを確認しながらふと思いだした。そうすけの泣いている理由がどうしてもわからないことがある。おっぱいはあげた、おむつはかえた、と消去法でひとつひとつたしかめてみても、こたえが見つからない。どうして泣いているんだろう。
「わからないですよね。わたしも、そうでした」
「えっ」
「わたしも母親になって、いま2歳の娘がいるんですよ。こんな仕事をしているのに、さっぱりわからなくって。なんどもいっしょに泣きました」
「あははは、いっしょに」
「そんなもんです、育児って。こたえが見えないこともしょっちゅう」
「なんだか、気がラクになってきました」

 医師による健康チェックのときにも、おなじアドバイスをもらった。
「おっぱいをあげる回数とか、量とかよりも、赤ちゃんがのみたいかどうかを目安にするといいですよ」
「こたえを探そうとしなくても、いいんですね」
「そう、そう。こたえなんて、もともとないんですよ。だって、機械じゃないからね。ニンゲンだから」
もうひとつ、おもしろい話をしてくれた。
「育児っていう言葉には、自分を育てる、という意味もあるんですよ」
育児は、育自でもある。そうかもしれない。いままでは見まもることばかり考えていたけれど、そうすけといっしょに進化できるかもしれない。