10月24日、自然に自然に。(妊娠30週1日)

「このごろ、どうですか」
「うん、ぼちぼち」
仕事場で後輩に声をかけられた。彼女はわたしよりひとまわり以上も若いが、育休明けしたばかりの先輩ママだ。時間短縮型の勤務制度をつかって、子育てと仕事を両立している。3か月がすぎたところで、ようやくリズムがつかめてきたという。体験をふまえたコトバのひとつひとつが、説得力に満ちている。
「朝、だんなに子どもを保育園まで送ってもらって、夕方、わたしがむかえに行くルールにしているんですよ」
「へえ、朝からだんなが。えらいなあ」
「これが、おたがいのモチベーションになるんですよ。きょうも、がんばるぞって」
「おお、なるほど」
「と盛りあげて、その気にしちゃうわけです」
「それ、いいなあ」
「かんべさん、保育園は先手先手で探したほうがいいですよ」
このアドバイス、以前にもきいたことがあったなあ。そうそう、産む前から先手先手でアプローチしておいたほうがいいんだよね。はい、気をつけます。
「いつから産休ですか」
「12月から休むつもり」
「それって、ぎりぎりまではたらくつもりでしょう」
「ほかにやることもないしー」
「もったいない。有給休暇を活用しないと」
「活用したんだね」
「もちろん。つかえるものはつかわないともったいないですよ」
ほんとうに出産に向きあって過ごしていたんだなあ、と感心する。彼女は産休に入る前にすべての仕事をリセットしたという。これって勇気がいることだ。休んでいるあいだいちども会社のメールを開かず、出産と子育てに専念した。いまのわたしにはできない。なんだかんだ文句をいいながらも、いまの生活に安心しているから。なるべくいまのままを、キープしたい。仕事がだいすきだからというよりも、毎日のリズムがかわるのがこわいからなのかもしれない。いや、こわいというよりも、めんどうくさい、といったほうが正直だろう。すべてが生活の一部。だから、むかしの農家の女性のように自然に産んで、自然にはたらき、自然に子育てしたい。いまは、そんなふうに希望している。実際にどうなるのかはわからない。産んでみてやっとわかるのだろう。