10月13日、体育の日。(妊娠28週4日)

 きょうは、体育の日。じつは、結婚記念日でもある。ちょうど16年前の体育の日、平成10年10月10日に結婚した。この日にしたのは、ぞろ目でおぼえやすいからだと思っていたけれど、だんなはちがった。この日にプロポーズをしたからだという。わたしの記憶があいまいで、この話をするたびに不穏な空気が流れるので、なるべくそっとしている。とはいえ、大切な記念日であることにはまちがいない。そうすけといっしょに結婚記念のお祝いをしよう。

 いま大型の台風19号が近づいているが、昼間は外にいてもだいじょうぶそうだ。さっそく、マタニティヨガのレッスンに出かけることにした。おなじことを考えてやってきた人が、たくさんいるようだ。いつもよりもスタジオが混んでいる。と、わたしの前にいる女性が声をかけてきた。
「マタニティですか」
「はい」
「わたしもです。いま6か月なんです」
このスタジオには4人がマタニティヨガのレッスンにかよっているときいていたけれど、実際にマタニティの人といっしょにレッスンをうけるのははじめてだ。心づよい気もちになる。入念にストレッチをくりかえす後ろ姿を見て、なんてきれいだろう。と、うっとりした。いままでかよっていた人のなかには、出産の前日にもふだんどおりにヨガをして、当日もレッスンを予約していたスーパーウーマンもいるという。身につけた呼吸法のおかげで初産にもかかわらず安産だったそうだ。9か月も、10か月も、ずっとかよいつづけるつもり、と彼女はいった。わたしももちろん、臨月になってもかよいつづけるよ、と胸を張った。

 マタニティヨガをしている時間は、そうすけとのコミュニケーションの時間にもなる。お休みのあいだにとるポーズ、シャバアーサナのときにそうすけはよく動く。ぐいっ、ぐいっ、と元気よくからだを動かしている。そうすけの動きをいちばんはっきりと感じる瞬間だ。あたまのなかをからっぽにして、からだのちからをぜんぶ抜いて。この一瞬一瞬をからだの記憶に残しておきたいと思う。