10月3日、けられる快感。(妊娠27週1日)

 歯のクリーニングに行った。診察室に入ると、観葉植物がふえている。緑のいやし空間だ。歯科衛生士さんが、いつも患者さんに接するようにていねいに世話をしているんだろうな。葉の先っぽまで青々と元気よく育っている。
「ちょっとでも、気分がよくなるといいなあって」
「ステキ。いい気づかいですねえ」
「もともとは、自分のためだったんですよ。朝から晩まで、ずっとここにいるでしょう。だから、ちょっとでも気もちよくしたいなあって」
「それ、大事ですよね。自分が気もちよくなくっちゃ、相手も気もちよくなれないもん。わたしも忘れないようにしようっと」
「そういってもらえると、うれしいです」
「ここにやってくる患者さんも、みんなよろこんでいるでしょう」
「リラックスできるよ、っていってくれますね」
毎日を気もちよくすごすためのコツって、ほんとうに身近なところにあるんだなあ。グリーンがそこにあるだけでこんなに環境がかわるとは。お気に入りの花を飾ったり、部屋をつかいやすく整とんしたり。どんなにいそがしくても心がけていたいものだと思う。そうすけも、元気に動いている。笑っていないのに、笑っているみたいにおなかがゆれている。よく動いているなあ。

 1日のなかで、そうすけがよく動くタイミングがある。朝、山手線にのっているとき。なぜかわからないが山手線だ。地下鉄にのりかえると、おとなしくじっとしている。午後、パソコンで文章を書いているとき。自分も考えているつもりになっているのだろうか。打合せをしていると、ツッコミを入れてくれるときもある。つまらないことを話していると、けっ、とけりを入れてくる。話が理解できるとはとても思えないが。けられるたびにニヤニヤしてしまうおかげで、いつもにこやかに対応できるようになった。そうすけ、ありがとう。帰りの山手線もお気に入りだ。座っているときのほうが、よく動いているみたいだ。明け方の午前4時ごろにも、よく動く。夜ふかしがすきなのか超朝型なのかどっちだろう。わたしに似ているとしたら、きっと夜型にちがいない。