10月30日、1日で1キロ。(妊娠31週0日)

 やっぱり、たべすぎてしまった。朝、体重計にのってびっくり。まぁ覚悟はしていたけれど。1キロふえてしまった。1日で1キロ。1か月で1キロ増のペースでいきましょうね、と日ごろからいわれているのになあ。なんとかしなければ。まずは風呂で汗を流そう。きょうは、かならずヨガに行くのだ。

「あ、かんべさーん」
「こんにちは」
「まあ、ちびちゃん大きくなったねえ」
インストラクターさんがさっとそばにかけよってきて、おなかをなでなでしてくれた。こんなに美しい女性に、さっとかけよってきて、なでなでまでしてもらえるなんて。そうすけは、しあわせもんだなあ。インストラクターさんも、おなかをさすりながら変化に気づいたようだ。
「ほんの数日のあいだにまた大きくなったねえ」
「やっぱり、たべすぎたなあ」
「順調、順調、いいこと、いいこと」
どんなこともポジティブにうけとめるところが、いいよなあ。うん、きょうも順調、順調。ヨガに集中しよう。
「いま8か月ですよね」
「30週だから、8か月の後半ですね」
「もう、声きこえてますね。話しかけてもいいかな」
「どうぞ、どうぞ」
コロコロころがるようなかろやかな声で、そうすけに話しかけている。このきれいな声をきいてほかの生徒さんの赤ちゃんがすやすや眠りについてしまったという、レジェンドをもっている。インストラクターさんはどうやら、そうすけをつぎのターゲットに決めているらしい。なんどもなんどもていねいに話しかけている。こんなふうに話しかけてもらうと、でれでれになっちゃうなあ。
「うたをうたってあげるのも、いいんだって」
「鼻歌なら、よくうたうんだけど」
風呂に入っているときを思いだした。鼻歌をうたったり、口笛をふいたり。オンチでも、だいじょうぶだろうか。きっと、気にしていないだろうね。