11月20日、木曜日のたのしみ。(妊娠34週0日)

 きょうは木曜日。週刊モーニングの発売日である。いつもたのしみにしている連載マンガが掲載されている。鈴ノ木ユウさんの「コウノドリ」だ。妊娠や出産をテーマにした連載で、出産をひかえているプレママやそのだんなさんであるプレパパ、子育て中の親、これから親をめざす人など、たくさんの人のあいだでいま話題になっているという。去年の春から連載されていたので妊娠する前にも読んでいたが、実際に妊娠してから読むと体験したかのように毎回はっとさせられる。電車のなかで読んでいると、いきなりうるっとこみ上げてくるから気をつけないといけない。ただのお涙ちょうだいものではないのだ。

 主人公は、産婦人科医、鴻鳥(こうのとり)サクラ。ベイビー、とよばれているジャズピアニスト、というもうひとつの顔をもっている。児童養護施設で育ったこと以外はナゾにつつまれている。このあたりの設定はマンガらしいなあと思うが、毎回毎回のストーリーが体験したかのように生々しい。無脳症、未受診妊婦、切迫流産、人工死産など、いままであまり語られることのなかった妊娠、出産を描いている。第4話のなかで作者の鈴ノ木ユウさんが想いを語っていた。

出産は病気ではない
だから皆
幸せなものだと思い込んでいる
多くの妊娠出産を見れば見るほど思う
出産は奇跡なんだ
だから人は純粋に喜んだり
嘆き悲しんだりする
その奇跡を前に
産科医など無力なのかもしれない
それでも
たとえそうだとしても
僕はコウノトリだ

 5年前に奥さんが出産して立ち会った経験や、奥さんの幼なじみが産婦人科の先生で話をきいた体験が、きっかけになっているそうだ。おれ描かなくちゃ。おれが描かないでだれが描くんだ、とまで思ったんだとか。妊娠も出産も、奇跡なのだ。なにごともなく無事に終わった妊娠や出産はない。けっしてあたりまえではない、ということを伝えようとしている。まだまだ実感するにはいたらないけれど。体験しながらたしかめていくのだろう、そうすけといっしょに。