11月26日、産前休暇前面談。(妊娠34週6日)

 いよいよ産休まであと3日。午後2時から上長との面談がある。年明けに組織改編があるため、人事局の人にも立ち会ってもらう。こういうのはなにかと緊張する。どうせなら、たのしい打合せにしたいものだ。そこで、仕事で手がけた制作物を見てもらってコメントをもらうことにした。これなら、おしゃべりもはずむだろう。はずまなかったら、さびしいな。はずまなかったら、それは、そのとき考えるとしよう。動画やウェブがすぐに見られるようにパソコンをスタンバイして、グラフィックは色校正や出力を用意した。準備にワクワクする。びっくり箱をしかけている気分だ。つくったものを見てもらうのは、たのしい。やっぱりこの仕事がすきだなあ、わたし。おもしろがってくれると、うれしいなあ。

 人事の担当者が先にやってきた。長ぐつをはいている。オフィスの照明を浴びてつやつや光る長ぐつが、とても新鮮だ。ブーツじゃなくて、ブーツっぽい長ぐつなのだ。きょうは朝から雨が降っていたので、迷わず長ぐつをはこうと決めたそうだ。彼女のまじめな人柄が、かいま見える。仕事場に着いてからムレやすいことに気づいて、ずっと後悔をしているのだと教えてくれた。でも、つやつやの長ぐつがすごくチャーミング。かわいい長ぐつですね、とほめると、ムレの不満も消えてしまったようだ。人のこころは、うつろいやすい。

 数分後、上司がやってきて、さっそく面談がはじまった。人事がつくった確認シートを見ながら、やりとりをすすめていく。出産予定日はいつか。来年の1月1日。産前産後休暇の取得は、どうしたいか。来春から保育園に入れるかどうかでかわってくるが、なるべくすみやかに復帰したい。職場復帰の意思はあるか。あります。復帰を希望する場合、どのようにはたらきたいか。いまのペースで仕事をつづけたい。育児休業の取得はどう考えているか。保育園が決まるまではとりたい。復職後のはたらき方のプランはどうか。そうすけが保育園に慣れてきたところでフルタイムにしたい。ひとつひとつ確認する。万が一にそなえての緊急連絡先を共有する。これでよし。制作物のお披露目タイムだ。

 面談が無事に終わって、すがすがしい気分。制作物へのリアクションも目のあたりにできて、よかった、よかった。人材育成プログラムもちょうどきのうで終わったところで、あとは仕事場を片づけるだけだ。あしたは家に送る宅急便やトランクルームの手配で、あっという間に1日がすぎるだろう。たっぷりあるはずの時間に、なぜかバタバタと追われている。