12月19日、ストレステスト?(妊娠38週1日)

 午後1時15分、日赤医療センターの妊婦検診に急いだ。出がけに宅配便のやりとりをしていたら、ぎりぎりになってしまった。ペンギンのような小走りで、急ぐ、急ぐ。師走の季節、急いでいる人が多いのでぶつからないように気をつけねば。1Fロビーで受付を済ませて採血に向かった。が、きょうは採血をしなくてもいい、といわれた。甲状腺ホルモンはもう気にしなくてもいい、ということだろうか。あとで医師にきいてみよう。血液と体重をはかり、検尿を提出する。そのままNSTルームへ移動してノンストレステストをうける。

 きょうは、前回や前々回にくらべてテストに時間をかけている。分娩監視装置から、赤ちゃんの心音とおなかの張りを記録したグラフが出ている。前回の2倍以上の長さはかかっているだろうか。そうすけは動いている。なのに検査はつづいている。なにかあったのだろうか。だんだん不安になってきた。
「あの、すみません」
助産師さんに、声をかけた。
「前回よりも時間がかかっていますが、なにかありますか」
「心拍がね、ときどき、低下しているんです」
「心拍が低下」
「はい、その原因をいま探っています」
あたまのなかが真っ白になった。いま、なんていわれたんだっけ。心拍が低下している。低下したけど、動いている。動いているから、だいじょうぶ。だいじょうぶだよ、きっと。胸のなかをきいたばかりのコトバがぴゅんぴゅん飛びかっている。首にちからが入らない。と、助産師さんが声をかけてくれた。
「だいじょうぶですよ、いま調べますからね」
「不安で、不安で。どうしたらいいんでしょうねえ」
底なしの不安に苦笑せずにはいられない。
「もうしばらく、はかってみましょう」
「はい」
からだの右側を下にしたり、左側を下にしたり、姿勢をかえてリラックスしながらしばらくテストをつづけた。もちろんリラックスなんかできないが。
「ああ、やっぱり。へその緒をふんでいるからかも」
「へその緒をふんでいるから、ですか」
「元気がいい証拠ですよ」
「元気よくふんでいるカンジですかね」
医師もおなじ判断をしていたので、ほっとした。そうすけがへその緒をふんでいる。どんなポーズをしているのだろう。経腹エコー検査をしてあらためて確認をする。いつものように、あたまは下、胴体は左側、足は右側にある。
「ああ、よかった」
「とっても元気ですよ。安心してくださいね」
先生にそういわれてほっとした。ほっとしたら、毒舌になってしまった。
「もう。ノンストレステストでストレスたまっちゃいましたよー」
「ホントすみません。でも、ちゃんと調べておかないと、ね」
よかった、よかった。そうすけの体重は2689グラムになっていた。念願の2500グラムを超えて、こちらもほっとした。これからもマイペースでいいから、のびのび大きくなってほしいなあ。いつでも心づもりをして待っているよ。へその緒をふんだらびっくりするから、ふまないように気をつけようね。