12月12日、おしるし初体験。(妊娠37週1日)

 午前10時、日赤医療センターで妊婦健診をうける。受付のあと採血をしに行ったら人酔いしそうになった。受付番号を見るとわたしまでに30人以上が待っていた。先に産科へ行って血圧と体重をはかり、検尿を提出する。ついでにNSTルームへ顔を出してみると、いますぐノンストレステストをうけられますよ、とのこと。こちらも先にうけてから、採血にもどることにした。

 NSTルームに入ると、前回とおなじリラックスチェアに座って、おなかにふたつのセンサーをつける。赤ちゃんの心拍をとるセンサーと、おなかの張りをたしかめるセンサー。分娩監視装置から、赤ちゃんの心拍とおなかの張りを記録したグラフがするする出てくる。トン、トン、トン、とリズミカルなそうすけの心音がきこえてくる。しばらく、ゆったりくつろごう。グラフを見ていると、ギザギザの線があらわれた。そうすけが動いている。それにあわせて心拍数も上昇している。きょうもいい調子だ。と思っていたら、そうすけの動きが、どんどんはげしくなってきた。折れ線グラフが子どもの落書きのように粗いギザギザになっている。途中で線がとぎれるほどのはげしさだ。心拍の数値が180を超えた。そうすけ、なにをコーフンしているんだ。エラー音が出て、すぐに助産師さんがやってきた。グラフをチェックしたあとに、おなかの張りはだいじょうぶですか、と質問された。これがおなかの張りなんだ。はじめて気づいた。そうすけのはげしい動きに耐えているだけだと思っていた。おなかの張りを自覚していなかったことを伝えると、これが張りですよ、これからはひんぱんに体験しますよ、と助産師さんがグラフのギザギザを指差しながら教えてくれた。

 採血をして、ロビーにもどって、医師の診察をうけた。きょうは女性の先生が担当だ。30代前半かな。アイドル系のかわいらしい顔立ちに、ショートボブがよく似あっている。まずは、経腹エコー検査から。さっそくはじまった。
「ここが、あたまです。ちゃんと下にきていますね」
「おお、よかった」
「ここが、おなか。ここが、足ですね」
「おお、動いていますね」
サイズをはかりながら、テキパキと診察されていく。いまのところとくに問題はなさそうだ。そうすけのからだは、どのくらい大きくなったんだろう。
「2400グラム。標準ですね」
「ちょっと小さめだけど、いいのかな」
2500グラムを超えてほしい、といつも思っていることが、ついつい言葉に出てしまった。先生は、そんなプレママの気もちをよくわかっているようだ。
「サイズや体重はね、気にしなくてもだいじょうぶですよ」
「個人差でいいんですね」
「そう。大切なのは胎児が元気かどうかです」
「きょうのノンストレステストを見ると、活発そうですね」
「ものすごーく元気です」
「あはは、ですよね。ありがとうございます」
医学的には、2200グラムを超えることがひとつの目安だといわれている。

 採血の結果、甲状腺ホルモンの分泌はまだかわらないので、投薬をつづけることになった。つぎの検診は1週間後の12月19日。出産予定日がじわじわ近づいてきているのを実感する。検診のあと家に帰ってから出血が見られたので、念のため病院に電話をして確認した。これは、おしるしとよばれる出血で、内診がきっかけでもよくおこるものらしい。様子をみて出血の色が鮮血のようになったり量がふえてきたりしたらまた連絡をください、とアドバイスをもらった。しばらくしたら落ちついたのでほっとした。おつかれさま、そうすけ。