12月28日、だっこのちから。(生後4日)

 ここまできたら退院するまで代筆してしまおうと、きょうもだんなが筆を、いや、キーボードをとります。かみさんめあての人がいたらごめんなさい。

 きのうの夜わたしが帰ったあと、そうすけはほぼ90分おきにおっぱいをほしがり、かみさんは一睡もできない状況でした。疲れが相当たまっているように見えました。それでもそうすけの表情やその変化をみると、それもたちまちふっとんでしまうそうです。わたしが病室に到着してかみさんが身支度をととのえているあいだに、そうすけが泣きだしました。こわごわながらわたしがあやすと、しばらくして泣きやみました。出産直後はまだなれなくて、だっこしてもちからかげんがわからずよわよわしく抱いていたけれど、子宮にいたころを思いださせるように、ぐっとつよめにだっこするのがいいそうです。

 かみさんが身支度をととのえている、というのも、17時すぎにかみさんのかよっている歯医者さんではたらいている歯科衛生士さんがお見舞いにきてくれるからです。彼女がきたとたん、そうすけがぱっと笑顔になったのでびっくりしました。彼女の声はすこし高くきよらかで、のびのある美しい声です。そうすけがおなかのなかにいるころから、かみさんはその歯科にかよっていてよく声をかけてもらっていたので、きっとそうすけもおぼえていたんでしょう。彼女にだっこしてもらうとますますごきげんになりました。まったく泣きもせず、おだやかな顔でちんまりしています。しかもお見送りの際にはじいーっと彼女を見つめているではありませんか。恋でもしているかのような目つきです。

 だっこの話にもどりますが、3歳までに親からたくさんだっこしてもらった子どもは、精神的にも安定して世の中に対しても安心感をもって歩んでいけるそうです。また、3歳までに親からいっぱい抱きしめてもらうと、精神的に早く成長をして親ばなれも早く、しっかり自立心が芽ばえるんだそうです。

 抱きグセがつくのでは、といった意見もあるようですが、わたしはそうすけをぎゅっと抱きしめつづけていこう、と、いまはつよく決意しています。