12月4日、臨月突入。(妊娠36週0日)

 きょうから臨月。とくに、かわったことはない。45歳のバースデーとおなじように、たんたんとその日をむかえている。あいかわらず恥骨痛には悩まされているし、ペットボトルのふたを落としてしゃがんで拾うだけでも大冒険のようなありさまで苦笑いばかりしているが。電車で席をゆずってもらう立場にもこのごろようやくなれてきた。正産期まであと1週間のんびりいこう。

 臨月ときくと、いますぐにも赤ちゃんが生まれてくるようなイメージがするけれど、臨月と出産月はちがう。妊娠36週0日から39週6日の妊娠10か月のことを臨月とよんでいるが、赤ちゃんがいつ生まれてもだいじょうぶな正産期は、妊娠37週0日から41週6日。1週間ずれている。だから、この1週間のあいだに産んだ場合には早産となる。早産といっても赤ちゃんは十分に成長しているから、心配しなくてもいいそうだが。なるべく予定日までゆっくりくつろいでもらいたいなあ。臨月をむかえた赤ちゃんは体重が2700グラムから3400グラム、身長も48センチから53センチくらいに成長している。いままでおなかのなかで元気に動きまわっていたそうすけも、そろそろ動きにくくなってくるころだ。ときどき、おなか側ではなく足のつけ根側をキックされる。いや、キックではなくパンチなのかもしれない。立っているときに攻撃されることが多いから、気をぬいてはならない。ついよろめいてころびそうになるからだ。このワザのことを、そうすけの腰かっくん、と、ひそかに名づけている。

 まだ十分時間はある、と思いつつも出産準備をすることにした。入院するときに必要なものをカバンにまとめていく。きょう1日でぜんぶをそろえるのはたいへんなので、あるものからすこしずつ。パジャマ、下着、タオル、洗面用具、そうすけの服。保険証や母子手帳、印鑑は、いつものポーチに入れているから、それを携帯していればだいじょうぶだ。そうすけの服をパッケージから出してたたみながら、あらためて赤ちゃんは小さいなと思った。いま、こんな小さないのちがおなかのなかでがんばっているんだ。ああ、また、しゃっくりをしている。へその下あたりにけいれんを感じながらいとおしいと思う。