2月22日、ひさしぶりの再会。(生後60日)

 朝、そうすけとおふろに入りながら、きのうの夜のことを思いだす。高校の吹奏楽部でお世話になった先輩が東京で研修を受けるのでこのタイミングに会おうと、近くにいるメンバーで集まった。連絡をくれた先輩がわたしが育休中なのを気づかって、家から歩いてすぐのレストランに予約してくれた。ありがたや、ありがたや。約束の18時が近づくにつれてドキドキ、そうすけとだんなに見送られながら、ちょっと早めに家を出た。これから会う5人にそれぞれクッキーセットを買って、レストランへ。ちょうどみんなも、店に着いたところらしい。

「きた、きた。ひさしぶりやねえ」
「かわってへんなあ」
「ほんまに赤ちゃん、産んだんか」
「産んだ、産んだ。まだ、おなか出てますよー」
「うん、よう出てる」
「それ、いいすぎですわー」
ちなみに先輩の経験によると、母乳をあげていればほんとうに自然に体重が落ちるらしい。たのしみにしていよう。集まったメンバーのなかには、子どもがいる先輩もいれば、独身生活をつづけている先輩もいる。それぞれがしあわせを追求した結果だ。いや、結果ではなく過程だろう。まだこれからの人生にどんな課題が待っているかは、誰にもわからないからだ。わたしは、おたがいを比較したりせずありのままを認めあっている、この関係が気もちよくてすきだ。
「自然妊娠だったの」
「そうなんです。42まで不妊治療したんやけど、うまくいかなくて」
「すごいね。40歳すぎて」
「奇跡に近いからね」
「うちは、人工授精して授かったからね」
「おれんとこも、通院していたで」
「え、そうだったんですか」
「ほしいと思ったときに、できないもんなんよ」
子どもを産んでから、はじめてきいた。集まった6人のうちの半分が、不妊治療を経験していたとは。正直おどろいた。しかし、これが実際なのかもしれない。ほしいと思ったらできるとは、かぎらない。先手を打たないと。

 22時に解散、家にもどった。すぐにおっぱいをあげよう。そうすけとだんなは寝室にいた。だんなはいつも、そうすけが泣きだすと寝室であやしている。たくさん泣いたんだろう。平気だよと話すだんなの髪に、寝ぐせがしっかりついている。おっぱいをいっぱいのんだら、ゆっくりおやすみしようね。