2月24日、ワクチン記念日。(生後62日)

 きょうは、ワクチン記念日。そうすけ、はじめての予防接種だ。生後2か月になると、B型肝炎、ロタウィルス、ヒブ、小児用肺炎球菌、4種類のワクチンを接種することがすすめられている。これらは同時接種できる。こんな小さなからだでもだいじょうぶなのだろうか。安全だとわかっていながら心配になる。
「生まれたころは小さめだったんですが、だいじょうぶですよね」
「1か月健診をうけたときに、低体重っていわれましたか」
「とくに、いわれませんでした」
「それなら、だいじょうぶですよ。うん、見たカンジもだいじょうぶ」
小児科医の先生は、副作用についてもていねいに説明してくれた。この医院は家から歩いて5分ほどのところにあり、これからもたびたびお世話になるだろう。いい先生にめぐりあえてよかったね、そうすけ。
「熱もだいじょうぶっと。じゃあ、まずはロタウィルスから」
「のむタイプなんですね」
「そう。あまいシロップ状ですね。はい、おしまい」
いよいよ、注射だ。大泣きしてあばれるかも。じっとしていてくれるかな。
「トラウマになったりしませんかね」
「生後2か月は、針がささるところまで見ていないから、だいじょうぶ」
「なるほど。なにをされているのかわからないんですね」
「そう。痛いっていう感覚はあるので、泣きますが」
「理解するから、こわくなるんですね」
あらためて、納得。こどもよりも、おとなのほうがこわがりなのだ。
「腰のあたりを、しっかり支えてくださいね」
看護師さんにうながされて、そうすけの腰を支える。先生は、両腕と肩の3か所に手際よくワクチンを打った。早い。そうすけは、ひゃあ、と泣き声をあげていたが、泣いたのは、注射をしているあいだだけだった。そうすけの初体験はほんの数秒で終わった。これで、またひとつ、たくましくなったね。
「はじめてなので、30分ほど、院内で様子をみましょう」
「はい」
「きょうは、おふろに入ってもだいじょうぶですよ」
家に着いてほっとしたのもつかの間、そうすけが泣きだした。小さなからだでよくがんばったなあ。仕事から帰ってきただんなに様子を話すと、そうすけになんども、よくやったな、と声をかけた。うーん、と喃語で返事した。