3月29日、ちがいのわかる赤子。(生後95日)

 母乳育児を推進している日赤医療センターで出産した経緯もあり、ほぼ完全母乳でそうすけを育てている。ほぼ、というのは、毎日のお風呂のあとにだんながミルクをあげているからだ。このミルクタイムは、栄養面だけでなく精神面でもわたしの支えになっている。つぎの授乳までのあいだに、ゆっくり風呂に入ったり、本を読んだり、音楽をきいたり、思うぞんぶんリラックスをすることができるからだ。この日記を書く時間にあてていることも多い。

 そんなそうすけのミルクタイムに、異変がおきている。ミルクをこばむようになってきたと、だんながいう。以前なら100ccをぺろりとのんでいたのが、2週間くらい前から哺乳びんの乳首をくわえるのをいやがり、ミルクを口のわきからこぼしてしまうようになったらしい。それでものませようとしたら、泣いていやがる。そういうときは50ccものめばいいほうで、だいたい20ccどまりになってしまう。100ccのめることもあるが、そのときはおっぱいをのんでから2時間ほど経ってしかも風呂に入ったあとだったので、おなかが空いていたのがよかったのかもしれない。そこでおなじタイミングを意識してミルクをあげてみるのだが、これがまた20ccどまりになってしまう。このときは表情だけがいつもとちがっていて泣き顔でいやがってミルクをこぼすのではなく、にこにこ笑いながらこばむんだそうだ。いろいろとやっかいだなあ。

 きのうの夜中に胸が張ってそのとき搾乳した母乳が60ccある。だんなにおねがいして、搾乳した母乳を風呂あがりにあげてみることにした。もしこれでのんだら、そうすけがミルクをいやがるのは哺乳びんの乳首のせいではなくミルクそのものにあることがわかる。いつものように、そうすけを風呂に入れて、からだを洗って、だんなにわたして服を着せてもらった。このあといつもならだいすきなリラックスタイムをすごすのだが、きょうはそうすけが搾乳をのんでくれたのか気になっていたので、ちょっと早めに風呂からあがった。

 リビングがまっくらだ。そうすけはベッドですやすや眠っている。だんなはソファーで静かにビールをのんでいる。な、な、なにが起こったのだろう。
「ぺろりとのんだよ」
だんなが、うれしそうにつぶやいた。うれしさがこみあげてきてしかたがないといった表情だ。やっぱりおっぱいがすきなんだなあ。保育園に行ったときにどうなるのかと心配にもなるけれど、いまは、おっぱいをなによりもおいしく思ってくれるそうすけがうれしい。時間がゆるすかぎり、おっぱいをあげよう。