5月22日、さわってごらん。(生後149日)

 左目が痛い。そうすけが指を突っこんできて、かわしきれなかった。ふれた直後は平気だったがしばらく経つうちに、ズキンズキンと熱をもった痛みが出てきた。まぶたも、すこし腫れているようだ。ものもらいになったのかな。ひどくなる前に眼科で診てもらおう。そうすけはいま人の顔に興味があるようで、目だろうが、口だろうが、おかまいなしにつかみにくる。それもいきなりガッとくるので、気をつけなければならない。だんなも寝ているときに、口のなかに指を入れられたらしい。びっくりするとなおさら、反応をおもしろがってエスカレートしてくるからやっかいだ。

 そうすけにとっては、目、耳、鼻、口、髪の毛、ひとつひとつが、めずらしくてしかたないのだろう。ぎゅっとしてみたり、にぎにぎしてみたり、ペタペタしてみたり。その感触を、なんども、なんども、たしかめてくる。夢中になるあまり、ちからをがっと入れたり、爪を立てたりすることもしばしばだ。それにしても、握力がつよくなったもんだ。つかまれた肌が真っ赤になるほど、ちからを入れてくる。あらためて鏡を見ると、首のまわりや、腕や、乳房にも、あちらこちらに小さなあざができているではないか。お母さんの齢でできちゃうと、一生跡がのこりそうだ。

 そうすけはいまあそびながら、どんどん学んでいる。目の前にあるものの感触をたしかめたり、手指の運動をしたり、ちからの加減をためしたり、相手の反応を見たり。痛くて叫びたくなることもあるが、怒ったり叱ったりしないで、そこをゆるゆるかわしながら見まもっていくほうがいい。と、保育士さんもいう。そうそう、とは思っていても、これがなかなかむずかしい。かわりにおもちゃをもたせるといいとアドバイスをもらって手渡してみるが、ばんばん叩いたり、べろべろなめまわしたり、その破壊力にはたじたじになってしまう。

 さて、眼科で左目を診てもらったところ、原因はそうすけの指ではなく逆まつげだった。目の炎症を抑える副腎皮質ホルモンの目薬と細菌による感染症を治療する目薬をつかって、しばらく様子をみることになった。すっかり、そうすけのせいにするところだった。というか、していた。ごめんよ、そうすけ。