6月23日、報連相その1。(妊娠12週4日)

 月曜日がやってきた。出勤しながら、きょうすることをアタマのなかで整理してみる。まずは朝イチで送ると話していたメールをまとめて、週末につくっておいたシートを添付して送ろう。13時に打合せがあるから、それまでに企画を見なおしておこう。できれば午前中のうちに、タイミングのいいところで、上司に声をかけて妊娠の報告をしよう。ひととおりあたまのなかでやってみると、すっきり整理できた気分になる。きょうも、たのしい1日になりそうだ。

 メールを送ってから、企画を見なおしつつ、上司に声をかけるタイミングを待つ。声をかけるだけなのに。ついついドキドキしてしまう。何度も見ていたら目があってしまった。これは行くしかないでしょう。チャンス、チャンス。
「あの、10分ほどよろしいですか」
「いいよ」
キープしていた個室に案内して、さっそく報告した。
「わたし、このたび、妊娠しまして。ただいま12週めになります。予定日は来年の元旦になるといわれています」
ガチガチだ。婦人科の先生に書いてもらった診断書を見せながら話した。
「おめでとう」
「ありがとうございます」
「びっくりしたなあ」
「ですよねえ」
おだやかな口調につられて、わたしも、おおらかな気もちになってきた。
「年の瀬に産休だな」
「はい、11月末までは、仕事をつづけたいと思っています」
「ムリするなよ」
「はい」
産休までのプランを上司がアドバイスしてくれた。人事への連絡は早めにしておいたほうがいい。7月末までをめどに、提出書類などの手つづきを済ませておく。9月以降はきちんと自分の体調に向きあうこと。ペースダウンするときがあっても、あせらない、あせらない。保育園については、この先輩にきいてみるといいよ、と、近くに住んでいる女性の先輩を教えてくれた。

いままで仕事で相談をすることはあったけれど、こんなプライベートな相談をするなんて、考えたことなかったな。と、あらためて思う。妊娠すると、こんなにも、見える世界がかわってくるなんて。
「なんだか、まだ、夢みたいで」
ほっぺたをひねりながら話していると、上司が大笑いしていた。