6月26日、後輩の先輩。(妊娠13週0日)

「ちょっと、ききたいことがあるんだけど」
朝の仕事場で、後輩に声をかけた。彼女には子どもがふたりいる。わたしからすれば、後輩の先輩なのだ。さっそく、プレママトークに火がついた。
「じつは妊娠したんだ」
「わぁ、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「よかった。よかったですねえ」
自分のことのように、よろこんでくれる。うれしいなあ。
「もう、わかんないことばっかりで」
「わたしも、そうでした」
「会社の手つづきとか、もうはじめたほうがいいのかな」
「人事の担当者に、直接きいてみるといいですよ」
この人に連絡するといいですよ。と、名前も教えてくれた。妊娠中に利用できる制度や今後に必要な書類のことなど、レクチャーしてもらえるそうだ。
「どこで産むんですか」
「広尾の日赤医療センター」
「ああ、あそこ、スパルタで有名なんですよね」
「ぐうたらだから、ちょうどいいかも」
「あっはっは」
「初診が1か月後までとれなくて。出生前診断についてもきこうと思っていたんだけど、ほかをあたってください、っていわれちゃったよ」
「出生前診断、すごく混んでいるでしょう」
彼女の友人が40歳でふたりめを妊娠、夫婦で相談して、出生前診断を受けることにしたそうだ。いずれ自分たちも年をとって、子どもを世話できなくなる日がくる。この子になにかあったとき、上の子がひとりきりで面倒をみるのはたいへんだろう。検査をして、心づもりしよう。まずは血液検査を受けて、結果次第で羊水検査を受けよう。さっそく予約を入れようとしたところ、都内はどこもいっぱいで受けつけてもらえなかったそうだ。
「で、平日に休みをとって、埼玉まで血液検査に行ったんですって」
「1日つぶれるねえ」
「夫婦で受けなくちゃいけないから、だんなさんにも仕事休んでもらったそうですよ」
「そこまでしたんだ」
「いますぐ探したほうがいいと思いますよ」
「そうだよね」
「あと、保育園。先手先手で探したほうがいいですよ」
「産む前でもいいの」
「産む前からですよ」
保育園の空きがなくて復帰が遅れてしまった後輩の話はきいていたが、産む前から競争になっているとは。わたしは品川区に住んでいるので、品川区の認可保育園や認証保育園について事前に調べておこう。いま住んでいるマンションの1階が認証保育園だ。ここに入ることができたら、ラクチンだ。

「すみません、ちょっと、おききしたいんですが」
仕事の帰りにさっそくその保育園に寄り道した。まだ13週めなのに。保育園の園長さんらしき女性がやってきて、ていねいに説明してくれた。
「よかったら夏の見学会に来てください」
「はい、ぜひ」
8月の見学会に予約を入れた。そのころはまだ18週めなのだが。