7月30日、おどろきの事実。(妊娠17週6日)

 つまっているのは、トイレのシャワーだけではなかった。仕事のほうもとどこおっている。あしたで7月も終わるが、この1か月、新しい案件が入ってこない。直属の上司に相談をしたところ、おどろきの事実を知った。
「妊娠中や産休明けの女性は、時間や健康上の制約があるから、実際に敬遠されることもよくある。だから、しかたがないんだよね」
しかたがないんだよ、と、いわれたって。妊娠しているだけで後ろめたくなるなんておかしいじゃないか。いっしょに仕事をしているチームの上司にも、話をきいてみた。二児のパパでもある上司は、状況を案じていた。
「いまでこそ産後もはたらいている女性がたくさんいるけれど、しかたがない、で、会社を辞める人も多かったんだよ」
「妊娠を歓迎されないなんて、さびしいですよね」
「ここ数年のことだよ、妊娠や出産に対する制度ができたのは」
「協力的でない人も多いのかなあ」
「遅れているんだよ」
「わたしも勉強不足ですね。これは、いろいろ調べておいたほうがいいかも」
「システムもルールも、つかえるものは、つかわないとね」
「調べて、つかってみようと思います」
「くじけるなよ」
「ありがとうございます」
「たすけてほしいときにはパッと手をあげて、ヘルプ・ミーっていうんだよ」
「ヘルプ・ミー、ですね」
「そう、そう」
 妊娠をすると、からだの変化だけではなく、自分のまわりの状況もどんどん変化する。いままでそのことを、ちゃんと考えていなかった。しばらくこの事態がつづくことは、まちがいないだろう。時間は、たっぷりある。これからどのように対応していくのがいいか、じっくり作戦を練ろう。そうしよう。