7月15日、2020年。(妊娠15週5日)

 スマホに子守りをさせないで、というタイトルの記事を読んだ。わたしたちが子どものころには、テレビを子守りがわりにするな、と、いわれていた。スマートフォンが、テレビの座をすっかりうばってしまった。しかもいまや、おとなだけでなく子ども自身も、スマホやタブレットをあたりまえにもっている。小学生の3人に1人は、もっているそうだ。3人に1人とは、おそるべし。そうすけが小学生になったころには、みんながつかっているだろう。
 実際スマートフォンの子守りアプリはたくさんあって、音が出るもの、動画が流れるもの、さわってゲームをするものなど、月齢にあわせたものがいろいろそろっている。電車やレストランのなかで子どもにあたえておくと、静かにしているのでちょうどいい、と肯定的な親も多い。いっぽうで、スマホやタブレットばかり見ていると、視力がわるくなったり、親子のコミュニケーションが不足したり、五感の発育に影響が出たりすることを懸念している親も多い。
 携帯電話のなかった時代に育ってきたわたしも、スマートフォンがなくてはならない毎日を送っている。すでにあたりまえの環境に生まれてきた子どもたちにとって、なにが必要で、なにが不要になるのだろう。あたまごなしに否定するのでもなく、便利さにあまえるのでもなく、いっしょに考えながら、そのたびに答えを出していくべきだろう、と思う。進化をつづける技術に、気おくれしている時間はない。時代は、常に変化している。

 午後、所属部署のメンバーが、ぞくぞくとセミナールームにあつまった。社長と社員とのディスカッションが、おこなわれる。テーマは、2020年のビジョンについて。2020年、どんな暮らしが待っているだろう。どんな未来にしていきたいのか、考えてみよう。もちろん、答えはすぐに出せないだろう。迷ったときにはあせらず、わくわくするほうをめざしてみよう。この数か月だけでも、さまざまな変化があった。6年後にはきっと、もっと想像を超える世界が待っているにちがいない。想像を超える自分にも会いたい。会いたい自分に会えるだろうか。話をききながら、ふたつの鼓動を感じていた。