7月17日、16週0日。(妊娠16週0日)

 いよいよ、妊娠5か月めをむかえる。実感は、まだない。16週めになると安定期とよばれ、流産の可能性もすくなくなってくる。適度にからだを動かすことを心がけましょう、と、いわれるころだ。待ってましたよ。こんどの連休から、マタニティヨガをはじめよう。さっそく予約の電話を入れてみた。
「こんにちは」
「マタニティヨガの予約を入れようと思っているんですが」
「医師の診断書はおもちですか」
「はい、提出できます」
「1回めはオリエンテーションを受けていただくことになります」
「どんなオリエンテーションですか」
「妊婦さん向けにアレンジしたポーズがあるんですよ」
「へぇ、新しいポーズかあ」
そういえば、ほかの人とちがうポーズをとっている生徒さんを、なんどか見かけたことがある。おなかに負担をかけないように、うつぶせのポーズを避けてちがうポーズをとっていた。5年以上つづけてきたヨガも、妊娠をきっかけにもういちど基礎から学びなおすことになる。新鮮な気分だ。足をしっかり開いて、大地に根っこをはりめぐらせるようにして、立つ。おなかに無理なちからがかからないように、ひとつひとつ、ていねいにポーズをとる。大切なのは、しっかり休むこと。やりたくてもがまんする、という感覚をおぼえること。

「最初は、どのポーズを休むかを、学んでいきます。それから、妊婦さん向けにアレンジしたポーズを、おぼえていきます」
「それから、レッスン、ですね」
「はい、なので、レッスンをすぐに再開することはできませんが、どうかご理解くださいね」
学生のころ、問題を解いている途中でつい、答えを見てしまったこともあったなあ、と思いだしていた。ゲームをしていても、早くつぎへすすみたい、と攻略本を買っていたりしたなあ。やりたくてもがまん、ちゃんとできるかな。やりたいことをやらないのも、すばらしいチャレンジです。と、マタニティヨガの紹介文に書いてあった。わたしのチャレンジは、まだ、はじまったばかりだ。