7月19日、そうすけ見えた。(妊娠16週2日)

 9時半から、妊娠検診だ。朝、CDをききながら風呂に入っていたら、ぎりぎりになってしまった。髪が半乾きのまま家を出て、婦人科へ急いだ。健康保険証と診療予約カード、妊婦健康診査受診票、母子健康手帳を、受付に提出する。いつもの4点セットだ。きょうは、受診票も切りとって記入してきている。
「7月は2回めですので、健康保険証は出さなくてもいいですよ」
「あ、そうでしたね」
4点セットでカンペキだと思っていたのに、まだまだ未熟のようだ。検尿をとり、血圧と体重を測って、名前を呼ばれるまで待つ。だんなはきょうも、本を読みながら待っている。わたしはきょうも、本を忘れてしまった。

 しばらくして、ベッドのある診察室に案内された。わたしだけ先によばれて横たわる。と、だんなもあとからやってきた。よしよし、いつもどおりだ。経腹エコー検査がはじまった。
「わあ、大きくなりましたねえ」
だんなのひと言をきいて、安心した。モニターはだんなに向いていて、わたしからは見えない。先生とだんなの会話をきいて、推察することにしよう。
「よく動いているなあ」
「元気ですね」
「これは、手ですか」
「足ですね」
「あっ、こっちが手ですか」
「足ですね」
前回の検診で見た手のインパクトがつよかったのだろうか、だんなは手が気になるようだ。いっぽう、先生は足に集中している。
「なにを測っているんですか」
「大腿骨のサイズです」
「だいたいこつ」
「はい、サイズを測ろうとしているんだけど、よく動いていますね」
「やんちゃだなあ」
そうすけが元気すぎて、測りにくそうだ。そんなささいなことも、うれしくてしかたがない。動いていたら、あるものまで、あらわになってしまった。
「ああ、男の子ですよ」
「お、男の子」
「ここが股なんですが。見えますか」
「ほお、おおっ」
ようやくモニターが、わたしのほうに向けられた。待っていました。
「ほら、ここに。なんか見えますね」
「おちんちん、ですか」
「ですね」
「わ、ばっちり見えちゃってますね」
そうすけは、そうすけだった。ますます愛情がわいてくる。まだ実感できてはいないけれど。そうすけが、ここにいる。いますぐ会いたくなってくる。

 きょうの検診が終わったら、マタニティヨガのオリエンテーションに行こうと思っている。医師の診断書をもらおうとしたら、先生に注意を受けた。
「わたしは、まだおすすめしません」
「だめですか」
「神戸さんの年齢を考えると、なるべく、運動はひかえたほうがいい」
「高齢だから、ですか」
「いま44歳ですよね、もうすぐ45歳」
「はい」
「本来なら、ゆっくり休んでほしいくらいです」
「…様子をみようかな」
「あと2週間、様子をみて決めましょう」
いったんゴーサインを出したら、とまらない。そんな性格をわかって、先生はアドバイスしたのだろう。年齢をあまくみていると、イタい目にあう。あらためて考える。いつものように強気でいても、年齢だけはごまかせない。妊娠していると、なおさらだ。オリエンテーションは、キャンセルすることにした。