8月19日、おっぱいの味。(妊娠20週5日)

 母からメールがとどいた。タイトルを見ると、今晩からおかゆ、と書かれている。本文を見るとこっちにも、今晩からおかゆ、で文章がはじまっていた。母はよっぽど、ごはんをたべられるのがうれしかったんだろう。
「今晩からおかゆです。きょうのお昼まで絶食でした。待ちに待ったごはんでーす。これで異常がなければ、普通食になります。ごはんをたべたら、もう回復は早いと思うよ。あした、4人部屋に移ります。早くよくなるよう、がんばりまーす。近くにマタニティの専門店があってよかったね。母さんも行けるようになったら、いっしょに行こうね。まだあついから、気をつけて」

 母にとってのおかゆがそうであったように、赤ちゃんにとってのおっぱいが待ちに待ったごはんだったら、うれしい。おっぱいは、どんな味がするんだろう。母乳にも、おいしい母乳とまずい母乳が、あるのだろうか。
 調べてみると、おっぱいにも、おいしいおっぱいとまずいおっぱいがあるそうだ。母乳の味は、ママのたべたものがそのまま出る、と、いっても過言ではないほど、ママの食事の影響をうける。あぶらっこいものをたべていると、母乳もあぶらっこくなる。あまいものをたべると、あまったるくなる。タバコを吸うと、タバコ臭くなる。アルコールをのむと、母乳にもアルコールがまわってしまうそうだ。アルコールをふくんでいる母乳は時間が経つと発酵して、それこそまずーい母乳になってしまう。おっぱいがおいしくないと、赤ちゃんは、足をバタバタさせたり、おこっておっぱいを手で押したり、乳首を思いっきりかんだり、からだをねじっていやがったりして、おいしくない、と、いっしょうけんめいアピールをするらしい。そんなアピール、されたくないなあ。

 どうして、味にちがいができるんだろう。それは、母乳がママの血液からつくられているからだ。ママの血液がわるいたべもので汚染されると、母乳の味や、質や、においまで、変化してしまうのだ。母乳がおいしくないと、赤ちゃんはのまないでのこしてしまう。3時間以上ほうっておいた母乳は、もっと、おいしくなくなる。そのうえ、たまった母乳でおっぱいが張って、乳腺炎の原因にもなる。いい食材でごはんをつくると、それだけでも立派なごちそうになる。母乳もおなじだ。しっかりたべて、おいしい母乳をつくりたい。