8月30日、ママはつよい。(妊娠22週2日)

 18時、田町のイタリアンレストランで待ちあわせる。ダイビング仲間の女子会だ。女子会と書いたが、だんながホスト役をつとめているので、だんなとゆかいな仲間たちの会、といったほうがいいかも。18時ちょうどに着いたときには、みんながそろっていた。さすがダイバー、時間に正確だなあ。

 シャンパンとブラッドオレンジジュースで、カンパイした。まずは、この再会を祝って。そして、そうすけウェルカムのお祝いだ。ようこそ、この世へ。元気に生まれてくるんだよ。みんなで待っているからね。女子会には、3人の子どものママもいる。親しみと尊敬の気もちをこめてメンバーみんなも、ママ、とよんでいる。ママは、3人の子どもをちがう産み方で出産したそうだ。ひとりめは自然分娩。ふたりめは切迫早産で入院をして、出産。3人めは、医師から子宮頸管(けいかん)無力症のおそれがあるといわれて、子宮をくくる手術をしてから、出産にのぞんだそうだ。話をきいているだけでも、たいへんそうだ。でもママは、そんな苦労も出産したらふっとんじゃうよ、と笑っている。陣痛がくるまでふつうに家事をして、ふつうに運動もしていたという。その精神力のつよさは、いったいどこからくるんだろう。わたしも、そうなりたい。
「出産までまだ100日以上もあるんだと思うと、おっかなびっくりで。どうやったら、落ちついていられるんでしょうねえ」
「どうにかなる、と思っていれば、だいじょうぶ。実際、どうにかなるもんだからね」
「そうか、そうですよね。なんとかしないと、産めないですよね」
「そう、そう。実際、なんとかなるもんよ。いまを、たのしんでおいたほうがいいよー。生まれたら、うーんと、いそがしくなるから」
「はじめてのことばかりで、バタバタしそう」
「だからといって、子どもが寝ているあいだに、なんとかしようとか思わないことよ」
「休むときは、休む」
「子どもが寝ているときは、寝る。そうじゃないと、疲れもたまるいっぽうで悪循環なの。リズムをあわせて生活すると、すっごくラクだよー」
たくさん経験したからいえるんだなあ。ママのことばには迷いがない。