8月4日、責任の重さ。(妊娠18週4日)

 上司の上司と面談をした。産休に入るまでに、どうしてもすっきりさせたいギモンがあったからだ。5日前にきいた、仕事場での現状についてだ。
「妊娠中や産休明けの女性は、時間や健康上の制約があるため、実際に敬遠されることもよくある。だから、しかたがないんだよね」
 仕事は、基本的に売上げで評価されている。だから、仕事の絶対数が減ると必然的に、それに対する評価も低くなる。評価が低くなると、いい仕事がまわってこなくなる。いい仕事がこないと、ますますモチベーションが下がってしまう。これじゃあ、負のスパイラルからずっと抜けられないじゃないか。なんとかしたい。いままで多くの女性が解決策を見いだせないまま、会社を辞めている。カンタンには、解決できないだろう。これも自分にあたえられた課題だと思って、できることからかえてみよう。まずは、事実をきちんと把握することから。

「子どもが産まれたとたん、女性の意識もかわるんだよ」
「意識がかわる、とは」
「家庭優先、仕事は二の次になる。そうなる人が、ほとんどなんだ」
「と、いわれても。個人差ありますよね」
「たとえば、保育園から、お子さん熱が出ましたって連絡がくる。きみなら、どうする。きっと、すっとんで行くだろ。それも、いつ起こるかわからない状況が毎日つづくんだ。家庭優先になるのは、しかたがないことだよ」
「うむむむ」
返す言葉がなかった。これから、そういう体験をするんだ。あした大事な提案があるので、準備が終わってから行きます。とはいわないだろう。それでもやっぱり、納得できずにいる。男性だってかぜをひいたら、休むでしょう。たまには連日休むことだってあるでしょう。だったら男性も、女性も、おなじ条件だと思うんだけど。母親はほかの立場とくらべて、責任の重さがちがうんだろうか。
「この仕事、母親にはきびしいんでしょうか」
「事実、そうかもしれないなあ」
なんのために、仕事をつづけるのか。もういちど考えてみよう。