8月6日、子どもパワーだ。(妊娠18週6日)

 朝6時に、渋谷集合。きょうは、撮影の立会いだ。これからロケバスにのって、たくさんの子どもたちに会いに行く。1歳6か月の男の子、4歳の女の子、7か月の女の子、2か月の女の子、5歳の男の子に2歳の女の子。そうすけくん、という同じ名前の男の子もいる。たのしみだなあ。先輩のそうすけくんは、どんな男の子だろう。きのうからずっと、ワクワクしている。

 子どもたちのトップバッターは、1歳6か月の、そうすけくん。おうちの近くにある、神社の境内で待ちあわせる。お父さんとお母さんと、手をつないで歩いてやってきた。だっこされてくるだろうな、と思っていたので、びっくりだ。歩くのが、たのしくて、たのしくて、もうとまらない。お父さんとお母さんは、境内のなかを走りまわるそうすけくんをにこにこしながら見まもっている。こっち、こっち。流行りのキャラクターのぬいぐるみで、そうすけくんの注意を引きながら、カメラマンがカメラをかまえる。そうすけくん、こっちだよー、こっち。なんどやっても、お父さんのほうに行ってしまう。よーし、こんどは、お父さんがカメラマンだ。よし、よし。カメラに向かって歩いてきたぞ。でも、早い。早いよ。そんなことを、なんどもくりかえしながら、ひとりめの子どもの撮影は無事終了した。おもしろかったなあ。

 ふたりめは、4歳の、はなちゃん。公園で待ちあわせた。お母さんとおばあちゃんと3人でやってきた。4歳になると、おねえさんに見えるなあ。黄色いワンピースを、すっと着こなしている。長い髪は、お母さんに結ってもらったのかな。麦わら帽子も、とてもよく似あっている。大きくなったら、幼稚園の先生になりたいそうだ。くみこ先生になりたいの。そっかー、くみこ先生のことが、だいすきなんだね。どんな先生か教えてほしいな。まねしてごらん、っていうと、やらないよ、っていう。かわりに、ヘン顔をいっぱい見せてくれた。はなちゃんは、おちゃめな恥ずかしがり屋さんだ。

 3人めは、りうちゃん。ちょうど7か月になったばかりの新生児だ。お父さんとお母さんとやってきた。水色のロンパースが、クールだ。切れ長の目が、かっこいいなあ。将来はさぞかし、イケメンになるだろう。と思っていたら、女の子だときいて、びっくり。お父さんの話をきいて、またびっくり。
「ぼくもじつは、男の子だと思っていたんですよね」
生まれてくるまで、ずっと、男の子だと思いこんでいた。すでに、名前も決めていた。りゅうのすけ。おなかにいるころから、りゅうちゃん、と、よんでいたそうだ。生まれてきたのが女の子で、さぁたいへん。でもずっと、りゅうちゃん、とよんでいたから、きっと、自分のことを、りゅうちゃん、と思っているにちがいない。だから、りう、と名づけたんだそうだ。

 4人めは、はつねちゃん。2か月の新生児だ。こんにちは。お父さんにだっこされて、はつねちゃんがあらわれた。ち、小さい。すやすや眠っている。起きているときは、泣くか、のむか、どっちかなんですよー。と、お母さんが笑いながら話してくれた。目はずっと、はつねちゃんを見まもっている。うれしいね、はつねちゃん。いざ、撮影。なのに、はつねちゃんは、眠ったまんまだ。眠った顔も、かわいいな。お父さんがなんとか起こそうとするたびに、右目を、あける。左目を、あける。また、眠る。お父さん、あせる。きょうは、寝る日だ。泣く日じゃなくて、よかった、よかった。

 トリをかざるのは、5歳のりくくんと、2歳のとわちゃんだ。お兄ちゃんのりくくんは、妹のとわちゃんが、だいすきだ。いつも、とわちゃんの近くにいて、なにかとちょっかいを出している。りくくんがキックをするたびに、とわちゃんに足がぶつかりそうになる。あぶないよー、と、おとなたちは心配するけれど、不思議なことになんどやっても、とわちゃんにはぶつからない。とわちゃんも心得ているのか、お兄ちゃんをかるくかわしている。もしかしてこれは、ふたりで考えたパフォーマンスなんだろうか。パフォーマンスをくりひろげる5歳と2歳に翻弄されつづける、おとなたちだった。おつかれさま。