朝、仕事場に着くと、まっすぐコピー機へ向かう。東京家庭裁判所に提出するための資料がたくさんある。人がふえて混まないうちに、ぜんぶコピーしてしまおう。その裁判所に提出する資料とは、戸籍の名前の変更手続きにつかうためのものだ。改名については、戸籍法第107条の第2項のなかで規定されている。正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得てその旨を届け出なければならない、とのこと。正当な事由があるかどうかは、家庭裁判所の家事審判官、いわゆる裁判官が判断をする。名前の変更をしたくても、個人的な趣味や心情、姓名判断の結果などでは、裁判所は許可しない。またおなじ事由でも、審判官の裁量次第で許可されたりされなかったりするそうだ。だれが読んでも納得できるように、慎重に準備しなければ。
さっそく、改名が許可される事例を調べてみた。①永年、通称名をつかい、社会的にも通用している。②地域に同姓同名の者がいる。結婚で家族に同姓同名がいるため、生活上の支障をきたす。③帰化した者で日本風の名前にあらためる必要がある。④神官、僧侶になり、改名の必要がある。⑤珍奇、難解、難読で、社会生活上の支障がある。書きにくい、読みにくい名前である。⑥異性とまぎらわしい名前で、社会生活上の支障がある。⑦性同一性障害による、性別と名前の不一致がある。⑧出生届時の名前に誤りがあった。⑨名前が原因で、いじめなどの差別がある。⑩営業上の目的から、長年慣行として襲名され、その必要がある。わたしの場合は、①が申請理由になる。みちよ、の読みをよく、みつよ、と読みまちがえられていたので、⑤も理由にくわえてみよう。
2008年に、海知代、の名前をつかいはじめてから6年が経った。永年使用、といえるかどうかはわからないけれど、トライ、トライ。そうすけが生まれてお母さんに名前がふたつあったらこまってしまうもんね。資料は、会社の名刺、給与明細、6年ぶんの年賀状、資格の修了証書、通称で掲載された広告関連書籍やウェブマガジン、所属している団体の名簿を用意した。手続きには2、3か月ほどかかるらしい。どうか、希望どおり改名できますように。