朝から脱力。午前6時からはじまった全米オープンテニスの男子シングルス決勝でマリン・チリッチ選手が優勝、錦織圭選手は準優勝に終わった。おしいなあ。日本人はじめての優勝を目の前にしていただけに、応援しながらもついつい欲が出てしまった。セットカウント3‐0。1セットだけでもいいから、とっているところを見たかったなあ。あぁ、また、欲が出てしまった。日本人が準優勝するのは、これがはじめてだ。錦織選手は新しい歴史をつくった、といっても過言ではないだろう。がんばったぞ、そうすK。だんながあつく語っている。
「そうすK、くやしいなあ」
「くやしいよ」
そうすけのかわりに、わたしが腹話術でこたえる。
「でも、つぎはもっと、つよくなれるよ」
「勝てるかな」
「勝てるよー。どうすれば勝てるのか、もう、わかっただろう」
「うん、身長をのばす」
錦織選手とチリッチ選手の身長差は、20センチ。ならんで立っていると親子みたいだ。あの高さから時速200キロを超えるサーブを打たれたらかなわないだろうね。と待っていましたとばかりに、だんなが叫んだ。
「メッシを見よ、メッシを」
「メッシ選手」
「そうだ。メッシは、身長をいいわけにしたことがない」
「病気を克服したんだよね」
「そう、やればできる」
「やれば、できる」
そうすけが生まれたあとにも実際にしていそうだよなあ、こんな会話を。たしかに、そうだ。夢をかなえるためには、つよいこころが必要だ。錦織選手はインタビューのときに、決勝に進出することを目標にしている、と話していた。決勝に出ることが決まったとたん、気もちをきりかえるのがたいへんだったのではないだろうか。ゴールは、ひとつだけじゃない。ゴールの先に、新たなスタートラインが見える。だれかの歌の歌詞みたいだなあ。そうすけとわたしたちの前にはどんなゴールが待っているだろう。つよいこころを、そなえておこう。