9月22日、胎児スクリーニング。(妊娠25週4日)

 午後4時25分、恵比寿のクリニックがあるビルのエントランスで、だんなと待ちあわせた。胎児超音波スクリーニング検査をうける。そうすけの身体検査だ。妊娠20週めから30週めの妊娠中期は、おなかのなかの赤ちゃんの臓器が観察しやすい。なにか異常が見つかったとしても、生まれてからの治療やサポート体制を事前にととのえられる。気もちの準備ができると、安心してお産にのぞめる。とはいうものの緊張するなあ。なにがあってもうけとめる、と、こころでは決めていても、なにかあったらどうしよう、と思わずにはいられない。

「こんにちは」
「きょうは、中期のスクリーニングですね」
羊水検査でお世話になった院長先生と再会した。きょうも、にこやかだ。ふっと緊張がほぐれていく。しっかり診てもらおう。はじめに胎児の推定体重と羊水量が確認される。推定体重は、820グラム。羊水の量も、問題ないようだ。基本のスクリーニング項目にしたがって、検査がすすめられていく。

【基本のスクリーニング項目】
頭部/大脳・小脳・脳室・脈絡叢(みゃくらくそう)
顔部/眼球・鼻骨・口唇
心臓/心臓の軸・4つの部屋・大血管の走行
胸部/肺・胸水
腹部/胃泡・肝臓・腸管・腎臓・膀胱
背骨/脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨)
四肢/左右の手足
へその緒/3本の血管・胎盤付着部位

頭部から順番にひとつひとつチェックをしていく。頭蓋骨のかたち、大脳、側脳室、小脳。25週めをむかえた小さなからだのなかにも、脳がしっかりつくられている。つぎは顔部。鼻が映った。穴がふたつある。眼球は、モニターではよくわからなかった。口を閉じている。おだやかな表情だ。なんてきれいな顔なんだろう。しばらく見とれてしまった。心臓はどうだろう。トクトク動いている。小さな心臓の弁がいきおいよく動いている。心臓の4つの部屋がはっきり見えた。そのまわりには左右の肺がある。羊水のなかにいるから、肺はまだ動いていないそうだ。つづいて腹部。先生の説明をききながら、ゆっくりたしかめていく。胃、肝臓、腸、腎臓、そして膀胱。あらためて、そうすけが男の子であることもわかった。背骨から手足にかけても調べていく。背中から背骨を見ると、白い骨がきちんとならんでいる。でっぱりは、見あたらなかった。足の骨も、すーっとのびている。うっとりするほど美しい。いとおしくてたまらなくなってくる。きょうは親ばか全開だけど、どうかゆるしてください。