日本ではじめて民間宇宙飛行士が誕生するかもしれない、というニュースをきいて、いまワクワクしている。みんなが海外旅行へ出かけるように、宇宙へ旅立つ日がやってくる日も近いだろう。そうすけも、おとなになったら行くのだろうか。できれば、家族いっしょに宇宙を見たいものだ。できるかなあ。
生まれたばかりの赤ちゃんは、目がよく見えない、といわれている。暗くてせまいおなかのなかで、長い時間をすごしてきたから、光になれるには時間がかかるだろう。新生児の視力は0.02くらい、2か月児になっても0.05くらいといわれている。でも、フォーカスがぼやけているだけで、じつは、いろいろなものを見ることができるのだ。とくに、20センチから25センチの距離のものは、はっきり見ることができるという。この距離はちょうど、お母さんが赤ちゃんに母乳をあたえているときのたがいの目の距離にぴったりだ。これも、いのちのしくみ、だろうか。自然の摂理は、よくできているなあ。
そうすけは、目と目のコンタクトがだいすきだ。ぎゃん泣きしているときにもだんなが顔をぐっと近づけると、ぱっと泣きやんでくれる。ヘン顔をしながら顔を近づけると、さらに効果ばつぐんだ。おそらく、このときのたがいの顔の距離も、20センチから25センチくらいだろう。そうすけは、だんなと見つめあうのがだいすきだ。しかし、だんなはふと気づいてしまった。わたしも気づいてしまった。目と目をあわせている、と思っていたのはおとなだけだったことを。そうすけは、なにかちがうものを見ているにちがいない。そう感じたきっかけは、おっぱいをあげたあとに、げっぷを出そうと背中をトントンしていたときのこと。こふっ、と、げっぷをして、ほっとしたそうすけに、顔を寄せた。いつもどおり目をあわせてにっこり、のつもりが、わたしのあたまの向こうを見つめているではないか。静かで落ちついた笑顔をしている。こんな表情をしたこと、いままでにあったっけ。まるで、宇宙とのコンタクトだ。
だっこしているとき以外にも、宇宙との交信はつづいている。おひるねしているときにも、あたまのうえに両手をかざして、呪文をとなえているようだ。なにを見て、感じているのか、わかちあえたらいいのに。きっとおとなには見えないなにかを、その純粋なこころで見つめているにちがいない。