1月5日、そうすけの挑戦状。(生後12日)

「いってらっしゃーい」
「なるべく早く帰ってくるね」
きょうから、だんなは仕事だ。だんなが出かけている8時から20時くらいのあいだは、そうすけとふたりきりになる。正直いってドキドキだ。ちゃんとお世話できるのだろうか。2日前くらいからシミュレーションしているつもりではいるがまったく自信がない。もう本番なのか、と気もちがあせる。いつどこで大泣きしはじめるだろう、と思うとおっかなびっくりだ。それでも母親なんだから、平気な顔をしてどっしりかまえていたいものだ。できるだろうか。

 だんながいなくなってから、そうすけはすぐに泣きはじめた。おなかがすいているにちがいない。さっそくおっぱいタイムだ。いままでは右のおっぱいと左のおっぱいを交互にあげていたけれど、のむ量がふえてきたのか両方ほしがるようになってきた。たのもしい、と思ういっぽうで、きのうまで組みたててきた方程式が見事にリセットされてしまったことにあせりだす。いつ授乳をしてどんな配分で搾乳したおっぱいをあげるのがいいのか、すっかりわからなくなってしまった。こうなったら、動物的カンをもとにそうすけのメッセージを読みとっていくしかない。名探偵におまかせあれー、と盛りあげてみる。

 おっぱい以外にも、さまざまな挑戦状がそうすけからとどいた。まずは、口からぶくぶく出るあぶく。はじめは気にしていなかったがふいても、ふいても、とまらないのでおそろしくなってきた。ネットで検索してみるとわたしのほかにもたくさんの新生児をもつママが心配しているようだ。これは、カニさんよだれとよばれるもので、よだれが出やすいこの時期にはよくあることらしい。カニさんみたいでかわいいねえ、とほのぼのしながら見まもっていてもだいじょうぶ。つぎに、とまらないくしゃみ。アレルギー反応をうたがってしまいそうだが、たくさんくしゃみが出るからといって、この年齢でアレルギー体質と決める根拠にはならないそうだ。赤ちゃんの鼻の粘膜はデリケート。冷たい風や、ちょっとした刺激、温度の変化だけでも、くしゃみを連発してしまう。そうすけのくしゃみはぶわっしょい、と豪快で、たとえば、ちっちゃいおじさんがたちまち等身大のおやじに変身しているようだ。そして、くるしそうなしゃっくり。おっぱいをのんだあとなどによく見られるが、これは、食道や胃への刺激が横隔膜に伝わって横隔膜が反射的にけいれんをおこしているためだそうだ。しゃっくりそのものには害はなく赤ちゃんにとってはくるしくないので、心配しなくてもいいらしい。とはいえ、見ているとなんとかしてあげたくなってしまう。これもきっと、母をひきつけるいのちのしくみ、のひとつなんだろうなあ。