10月16日、予定日まで77日。(妊娠29週0日)

 妊娠29週0日をむかえた。出産予定日まで、あと77日。ハッピーな1日のはじまりだ。朝いちばんに7がならんでいるのを見つけたよろこびもあるけれど。そうすけと会える日が着々と近づいていることがうれしい。29週めをむかえた赤ちゃんは、身長が40センチほど、体重は1100グラムから1500グラムほどにまで大きくなる。脳も順調に発達して、考えたり記憶したりする能力や感情もしっかりめばえてくる。胎内記憶をもつ赤ちゃんもいるという。

 胎内記憶とは、お母さんのおなかのなかにいたときの記憶のこと。もっと具体的にいえば、陣痛から誕生までの誕生記憶。おなかにやってくる前の中間生記憶もあるけれど、一般的には、生まれる前の記憶をまとめて胎内記憶とよんでいるそうだ。言葉を話せるようになると、思いだして話しだすという。

 たとえば、おなかのなかにいたときの記憶。
ぼくは、ピンク色の部屋のなかにいたんだ。あるところをキックしたら、お母さんがあそんでくれるから、そこをときどきキックしたよ。お母さんが眠りそうなときも、もっとあそんでほしいから、いっぱいキックしていたよ。お母さんのおなかのなかに、おもちゃを忘れてきちゃった。長いひもみたいなおもちゃ。引っぱったけれど、ぜんぜんとれなかった。きっと、のりでおなかにくっついていたからなんだろうね。

 たとえば、陣痛から誕生までの記憶。
せまくてくらいところから出たくて出たくてうーんとがんばっていたら、わあって、まぶしくなったよ。あかるいところに出たら知らないおじさんが待っていたよ。あっちとこっちをぎゅうってされてね、ぐいーんぐいーんって、ひっぱられたんだよ。うわあってまぶしくなって、えーんって泣いちゃった。

 たとえば、おなかにやってくる前の記憶。
お空の上にあるふわふわの綿菓子みたいなところで、たくさんのお友だちといっしょにいたんだ。お父さんとお母さんが見えて、お母さんがいちばんかわいくていっぱい笑ってすごくやさしそうだったよ。だから神さまに、この人のところにいきたいって、おねがいしたんだよ。ながーいすべり台をすべってきたよ。すべり台は、にじみたいに光っていてあつかった。地球が見えてきて、もうすぐお母さんのところに行けるんだってわかったよ。途中でわかれ道があったけど、迷わないできたよ。もうひとつの道に行ったら、別のお母さんのところに行っちゃうんだって。

 胎内記憶を話す確率が高いのは、2歳から3歳のころ。リラックスしているときに、おなかのなかにいたときはどうだった、とお母さんからそっと問いかけてあげると、気づいたようにこたえてくれる子どもが多いんだそうだ。そうすけはどんな記憶を抱えて生まれてくるだろう。いっぱい話してくれますように。