11月12日、兄の引っ越し。(妊娠32週6日)

 兄が、12月中旬に引っ越すつもりだという。また、新しい活動の拠点を見つけたようだ。家を買いかえるのはこんどで3度めになる。そのバイテリティに、いつもおどろかされる。思いたったらすぐ行動にうつす。ためらわない。それが兄のいいところでもあり、ドギマギするところでもある。さっそく電話した。
「よお、元気でやってる?」
「ぼちぼち。兄ちゃん、引っ越すんだって?」
「そう、そう。いいとこ見つけたんだ。天文台がついてるの。以前、大学教授が住んでいたんだって。駐車場も充実しているし、いうことなしなんだ」
そう、そう。兄は車がだいすきで、駐車場が大きくないとだめなんだ。それにしても、天文台がついている家なんてあるんだ。見たことないなあ。
「ふーん、天体望遠鏡もついてるの?」
「あるある。教授がいらなかったら処分するよっていうから、だったらそのままにしてっていったんだ。けっこう専門的なやつらしいよ」
「へええ、そりゃよかったねえ」
「生まれたらこっちに連れてきなよ。みんなで天体観測しようよ」
おうちの天文台でみんなで天体観測、かあ。たのしそう。あたまのなかに、どんどんイメージがふくらんでいく。イメージどおりだったら、ステキだなあ。
「12月中旬に引っ越すんだっけ」
「そう。おふくろが、12月上旬にこっちにくるっていっているけど」
「兄ちゃんとこ、泊まれるの」
「いつでも、オーケー」
とはいっても、引っ越しの準備のまっただなかだ。ダンボール箱まみれで寝ることになったらきついなあ。小柄な母だから、寝られそうではあるが。
「だったら、わたしんちに泊まればいいよ」
「え、だいじょうぶ?」
「聡さんの書斎をかたづければ、だいじょうぶだよ」
「わかった、おふくろと話してみる」
今週末にちょうど兄が大阪に出張するので、実家に寄って母とどうするか相談して決めることになった。よかった、よかった。まずは書斎にたまった本をかたづけなければ。本の買取サービスを調べてネット予約を入れた。