11月15日、きものランチ。(妊娠33週2日)

「どうも、こんにちは」
「わあ、おなか、大きくなったねえ」
外苑前駅で、待ちあわせ。きもの着こなし講座のメンバーで、きものランチに行く。わたしは、ワンピースにウールのカーディガン。前回みんなと会ったのが7月12日だから、ちょうど4か月が過ぎている。自覚している以上に、おなかの変化が大きかったみたいだ。びっくり顔が、こんなにたくさん見られるとは。もうひとつ、予想外の感想がみんなから出てきたのでおどろいた。
「思ったほど太ってないよね」
「ちゃんとたべてる?」
いやいや、ぜんぜん、たべているんですけど。1か月1キロを超えているし、気をつけなければいけないところまできているんですけど。きっと妊婦の見ためのイメージというものがあって、それとちがっていたのだろう。マタニティウエアを着ていないから、なおさらちがって見えるのかもしれない。太りすぎを気にしているのを思いやって、こんなふうにいってくれたのかもしれないが。

 食事をしているときも、出産や子育ての話で盛りあがった。きものの先生は2人の息子さんと1人の娘さんのお母さんで、大大大先輩ママだ。出産までにかかった時間は、3人めがいちばん早かったそうだ。あまりに早すぎて、陣痛がはじまると分娩室へダッシュして分娩台に飛びのったんだとか。そうでもしないと間にあわなかったのよ、とニッコリほほえんでいる。無敵の微笑だ。いざというときのためにも、ダッシュできるくらいの体力はたくわえておきたい。そういえばきのうの撮影でお世話になった演出家の奥さんも、火曜に赤ちゃんが生まれたばかりだ。初産で、予定日より3日早く生まれたそうだ。陣痛がきてから出産までに26時間かかったという。こちらも体力勝負だ。

 ランチのあと、みんなでおさんぽしながら、先生の教え子さんが開いているきものショップへ行った。ちょうどいい腹ごなしになって、そのうえ目の保養もできるとは。なんてごきげんな土曜の午後だろう。15分ほど歩いてお店に到着。店主をしている教え子さんが大島紬をすっきり着こなしている。きものってすばらしい、と、あらためて思う。みんなのテンションがぐっとあがる。
「ああ、きれい」
「かんべさん、産んだときのごほうびにね」
「だんなさんに、おねだりするのよ」
「いまから仕かけておかなきゃ」
きものを手に入れるための作戦を、みんなが耳打ちしてくれた。きものや帯をつぎつぎに合わせてコーディネイトも完了。あとはおねだりするのみだ。