12月7日、早めのクリスマス。(妊娠36週3日)

 ちょっと早めのクリスマスディナーへ。といいながら、おいしいものには目のないふたり、なにかと理由をつけて、ちょくちょく外へたべに行く。クリスマス当日までにはまだたっぷり時間があるから、これからもチャンスはいっぱいありそうだ。ヨガのあと、東銀座の歌舞伎座の近くにあるフレンチレストランに入った。ワインとフランス大衆料理をカジュアルにたのしめる、と口コミでも人気が高い。ディナーにしては早すぎる時間なのにかなり混んでいる。やっぱり、うまいもんずきの考えることは似ている。女子会をしているテーブルもある。

 この店では、オードブル、メイン、デザートを選べる。メニューを見ながらワクワク会話もはずむ。なんにしよう。鼻歌をうたいたくなっちゃうなあ。
「迷っちゃうなあ。どれにするか決めた?」
「フランス産バイヨンヌ生ハムとチーズの山盛りサラダ」
「いいねえ。メインはどうするの」
「うーん。まだ迷っている。牛ハラミのステーキにするか、吉田豚肩ロース肉のステーキにするか」
「なるほど。じゃあ、わたしは、キャビア自家製そば粉のパンケーキつきと、オマールエビと魚介の濃厚なスープココット仕立てにする」
こういうときにつかう、なるほど、ってどんな意味になるんだろう。と、ぼんやり考えながら話していた。だんなは目をぱちくり、まだ迷っている。
「いらっしゃいませ」
店員さんがやってきた。先にのみものをオーダーして、のみものがくるまでにふたたび迷っていた。迷ったぶんだけ、料理もさらにおいしくなるね。

 けっきょく、だんなは吉田豚、わたしは初志貫徹の魚介でいくことにした。こんなふうにふたりきりで食事をたのしめるのも、あと1か月か。と思っていたけれど、もうふたりではないかもしれない。ほら、そうすけが動いているよ。
「そうすけ、よく動いているよね」
「わかる、わかる。こっちから見てもわかる」
「参加しているつもりかな」
「いっしょにカンパイしているつもりなのかもねえ」