2月13日、ぶーん、ぶーん。(生後51日)

 からだが大きく、重くなってきたかなあ、と思っていたが。そうすけの動きにもじょじょに変化があらわれた。いや、変化というよりも、進化だろう。いままでは、泣く、のむ、寝る、のサイクルをつづけていた。そこに、おっぱいとおねんねのあいだの起きている時間ができたのだ。このまったく新しい時間を、どうすごしたらいいんだろう。それは、そうすけだけの課題でない。わたしにとっても、はじめての課題だ。おなかのなかから解放されて自由になった手足をぱたぱた動かしているそうすけは、とまどっているようにも見える。

 いままでは、おっぱいやおむつタイムと眠るまでのあいだはぐずっていたりもしたけれど、そうすけ自身の時間をすごすということはなかった。さてどうするか。なにしようか。もちろん、そうすけの返事はない。なにができるか、おしえてくれないかな。とでもいいたげに、目をきらきらさせている。いつもなら、横目でたまっているメールをなんとかしたいところだが、ここはしばらく様子をみてみよう。そうすけを、じっと観察する。ぶーん、ぶーん。まるで自動車のハンドルをまわすように、ぎゅっとにぎったこぶしをぐるぐるまわしはじめた。おおお、うまい、うまい。F1ドライバーみたいだねえ。ぐるんぐるんドライブをたのしんだあとは、両手でパンチだ。ぶん、ぶん。こんどは、ボクシングだね。パンチがあたりそうなところに、顔をつっこんでみる。ほら、あたった。うっ。KOだ。ベビー級チャンピオン、かんべそうすけ選手。

 からだを動かすことになれてきたのだろうか。添い寝のときに、わざわざ態勢をととのえたりしなくても、すーっと眠れるようになった。夫婦がつかっていたベッドでも、だんなと相似形ですやすや眠っている。まるでそこが前からそうすけの居場所だったように。いまいちばんお気に入りの寝場所は、だんなの書斎のソファーベッドだ。ふわふわではなくちょっぴりかためなところが、ベビーベッドに似ているのだろう。おっぱいをのむタイミングをすぎても、ぐっすり眠っている。すぐに起こすとぎゃん泣きするので、要注意だ。