2月16日、おふろでバブる。(生後54日)

 そうすけは、お風呂がだいすきだ。きょうも湯船につかりながら、うっとり目をつぶっている。だんなも、わたしも、この顔見たさに率先してお風呂に入れてあげようとする。どっちかが洗う係を担当して、どっちかが着がえ係を担当するため、みんなでいっしょに湯船につかってたのしむことはできない。残念ながら着がえ担当になったとしても、カメラを浴室にもちこんで撮影しているから、なんだかんだたのしんでいるのだが。今夜は、だんながカメラと着がえ担当で、わたしが入浴担当だ。先に浴室に入ってスタンバイする。

 お湯は、39度。サンキューだ。以前、助産院で産後ケアをうけているときに40度でためしたらそうすけが泣いたので、39度にしている。わたしはもっとあつめの湯がすきだけど、この温度にもだいぶなれてきた。そうすけといっしょに、リラックス、リラックス。ほおお。と、この上なくしあわせそうなため息をつくなあ。以前はぎゅっとにぎっていた手も、わたしの腕をさわったり、ぶらぶらしたり、できるようになってきた。首とおしりをささえて、ぷかぷか浮かしてあげると、気もちよさそうだ。だんなカメラマンが登場。

「いいねえ、そうすけくん。こっち向いて」
「うん、いいよ。すごくいい」
だんなカメラマンは、プロのカメラマンになりきっている。ヌードグラビアを撮影しているテンションになっていく。そうすけはあいかわらず、うっとり目をつぶっている。瞑想しているみたいだ。洗面台のシンクに入れていたころにくらべて、落ちついている。ずいぶんおとなになったなあ。こっち見てごらん、と、だんながパシャパシャ額にお湯をかける。見事に顔面に命中しているが、微動だにしない。きょうはこのへんにしておこうか。グラビア撮影、終了。

 さあ、洗いますよ。ベビー用ボディソープであたまから順番に汚れを落としていく。あたま、首、腕、胸、おなか、背中、おしり。と、そうすけの表情が一瞬くもった。ぶりりりっ。あ、バブった。黄色いうんちが、洗い場の床にするすると流れていく。おしり、もういちど洗おうか。おしり、足、おちんちん。お湯をかけて、すっきり。ぶりりりっ。あ、また、バブった。なにごともなかったように、そうすけは目をつぶっている。なにか見ましたっけ、とでもいいたげだ。なかったことにしてあげよう。どうかくせになりませんように。