2月17日、ごきげんななめ。(生後55日)

 空が、暗い。けさは東京都心でも、雪がふっているそうだ。通勤の時間帯は気温が1度台になるといわれる。この寒さのなかを、だんなをはじめ、たくさんの人が仕事場に向かっているんだなあ。おつかれさまです。つい他人事になってしまうのは、そうすけも、わたしも、ほぼまる1日、部屋のなかですごしているからだ。まるでちがう国にいる感覚になる。こんなぬくぬくの楽園ですごしていてもやっぱりつらいことはある。そう、ぎゃん泣きだ。

 きのうの夜からけさにかけて、そうすけはなんども泣いていた。おっぱいものんでいるしおむつもかえているし、思いあたる節がない。いったいなにが起こったんだろう。だんなが腕まくらをしても、手足をばたばたして泣きだす始末。しかたがない。ここは、おっぱい作戦でいこう。おっぱいをのんだら、しばらくはごきげんだ。泣いたら、のませて、泣いたら、のませて。朝までくりかえしていたら、そうすけも、わたしも、寝不足でへとへとになってしまった。

 だんなが仕事に出かけたあとも、そうすけのごきげんななめは、つづいているようだ。まいったなあ。これから夜まで、ふたりっきり。そうすけの気分をかえるきっかけが、どこかにあるといいんだけど。気分転換にルームウエアをかえてみる。両面パイル裏起毛の肌ざわりのいいものを選んだ。宅配便の人がいきなりきても、これなら、あわてなくてすむ。きょうは1日のんびりしながら、ふたりですごそう。だいたい2時間ごとに、おっぱいをあげよう。

 ちょっとしたきっかけで、ごきげんなななめが解消された。泣きだしたそうすけをあやそうとだっこしたら、さっきまでとはまるで様子がちがう。両面パイル裏起毛のルームウエアに、ぐりぐり、ぐりぐり、顔をこすりつけているではないか。素材の肌ざわりのよさに、そうすけもうっとりしているらしい。たったこれだけのことでごきげんになってしまうとは。たしかに、着ているわたしもいやされるほどのここちよさではある。そうすけが手まくらをしながら、ぐっすり眠っている。わたしも袖にほほをあててみた。なるほど、これだね。