2月21日、はじめてのおさんぽ。(生後59日)

 ピンポーン。はい、はい。と、だんなが声をはずませて玄関に走った。宅配便がきたようだ。腰くらいまでの高さがある大きな箱。レンタルでたのんだベビーカーがやってきたのだ。さっそく玄関先で箱を開けて確認した。

 ベビーカーには、首がすわってからのることができるタイプと、新生児でもつかえるタイプの2種類がある。だんなは、1日も早く3人でおさんぽにいきたいと新生児用ベビーカーをほしがっていた。もちろんだっこひもでも出かけられるけれど、だんなもわたしも45歳、腰への負担が気になるこのごろだ。いっぽう新生児用ベビーカーは子どもの成長にあわせてつかえる期間が約2年と短いため、レンタルでやりくりすることにした。

 箱のなかには、クルマの部分と椅子の部分がわかれて入っていた。だんなが説明書を見ながらセッティングをする。新生児用ときいていたけれど、こんなに大きかったとは。わたしひとりで組みあわせるのはムリだ。こういうときのだんなは、たのもしい。数分もするとベビーカーが完成した。そうすけをのせてみると最初はじっとしていたが、にっこり笑った。と思ったら、あらあら泣きだしてしまった。大泣きだ。慣れない空間に、おどろいてしまったようだ。

 出かけてみようか、と、だんなに誘われて3人で出発した。そうすけ、はじめてのおさんぽだね。さっきまでの泣き顔もどこへやら、ベビーカーの動きにあわせて目をぱちぱちさせている。100%好奇心のかたまりだ。カタカタと音をたてながら元気よく、ベビーカーが進んでいく。カタカタと音が鳴るのは、歩道の上にも小さな段差がたくさんあるからだ。いままでなんども歩いていたのに気づかなかった。そうすけといると、こんな発見もあるんだね。

 段差に気をつけながら、ゆっくり進んでいくと、10分ほどで、内定の通知をもらった保育園の前にきた。たくさんの子どもたちがあそんでいた。土曜日もにぎやかだなあ。4月入園予定の神戸です、とインターフォン越しにあいさつをすると、保育士さんが封筒を片手にやってきた。入園手続きの書類が入っている。さむいですから建物のなかに入ってくださいね、と保育園のなかに案内してもらった。そうすけは眠っている。と思ったら、うす目をあけている。やっぱり気になるんだなあ。提出書類の説明をしてもらった。

「いま説明したところを記入して、来週の金曜日そうすけくんの健康診断のときにもってきてくださいね」
やさしい声で、保育士さんが説明してくれた。そうすけはあいかわらず、目をつぶって眠っているように見える。
「じゃあね、そうすけくん。来週、待っているからね」
にっこり笑って、保育士さんが話しかけている。いい保育園にめぐりあえた。