2月23日、笑顔と喃語。(生後61日)

 いま、こうして日記を書いているとなりで、そうすけがすうすう寝息をたてている。両手をバンザイしながら満足げな顔で眠っている。1日のなかで、いちばんすきな時間。あと30分もすればわっと泣きはじめるにちがいないことはわかっている。それでもつい寝顔を見たくて、書く手をとめてしまう。というより、すっかり見入ってしまう。そうしているうちに、夜になってしまうのだ。きょう1日なにやっていたんだろう、と、いつも苦笑してしまう。

 寝ているそうすけもかわいいが、起きているときもさらに魅力がパワーアップしている。まず、笑顔。生後1か月をすぎたころは生理的微笑といわれる対象のない笑顔だったが、2か月ごろになるとまわりの人の笑顔に反応してよく笑うようになる。あなたが笑えばわたしも笑う、といったぐあいだ。この瞬間が見たいがために、なんども、なんども、笑顔のにらめっこをしてあそんでしまう。1日をすごすには、これだけでもあっという間だ。さらに、喃語(なんご)。赤ちゃんがつかう言葉の原型になるそうだ。ああ、とか、うう、とか、シンプルなものからはじまって、だんだんバリエーションがふえてくる。2か月ごろの喃語は声のパターンもすくなく、まるで発声練習のようにきこえる。ときどき、びっくりするほど大きな声を出すこともある。そのたびにひやっとするけれど、そうすけが満足げにしているので、それはそれでよしとしよう。

 赤ちゃんが喃語を話しているときは、おとなもそれにこたえて積極的に話しかけるといいそうだ。おとながかける声をきいてうれしくなって、さらに声を出してくる。こうしておたがいにやりとりをしていくことで、赤ちゃんの言葉のちからがきたえられ、感情もゆたかになっていくんだそうだ。そうすけと話しているときには、こっちまでうれしくなってそんな冷静にはなれないが。
「ああ」
「ああ。ぱいぱい、かな」
「うう」
「うう。ぱいぱい、だね」
「いい」
「いいねえ。おいしいねえ、ぱいぱい」
うなずくようにおっぱいをのむそうすけを見ているとつい、言葉が通じた気もちになる。そうすけが夢中でのんでいるので、それはそれでよしとしよう。