2月4日、産後ケアその2。(生後42日)

 添い寝作戦、大成功。と、いきたいところだったが、そうはならないところが子育てのおもしろいところだ。2日めは、そうすけといっしょに、ぎゃん泣き大会だ。まずは深夜から、朝まで生ぎゃん泣き。オーディオもテレビもない、ものすごく静かな部屋に、そうすけの泣き声がひびきわたった。きのうあれだけ寝ていたら、目が冴えてしまうよなあ。ごめん、ごめん。おっぱいでなんとかごまかしながら、朝をむかえた。けっきょく完徹してしまった。

「それは、たいへんでしたねえ」
「どこに泣きのスイッチがあるのか、わからなくって」
「ですよね。わたしも2人子どもいますが、そうでしたもん」
「泣くのになれちゃいましたよ」
「そう、なれることがいちばんですよ」
助産院のスタッフさんが笑っている。こうやって、何人ものママを相手に笑ってきたんだろうなあ。そう、どんなときにも、こんなふうにリラックスできることが大切なんだ。わかってはいるが、ついあせったり、イライラしたりしがちになる。それを小出しにして、じょうずに息抜きしながらやっていくのが、いいみたいだ。いいみたいだ、と書いたのは、万事うまくいくわけではないからだ。きっと万事うまくいかないから、子育てはおもしろいのだ。

 午後、アロママッサージをうけながら、出産にまつわるおもしろい体験談をきいた。そのときはたいへんだったが、いまとなってはおもしろい話だ。20代前半くらいの妊婦さんが、いきんでいるうちに、いきむのがしんどくなってしまったそうだ。しんどいのががまんできなくなって、とうとう、いきむことをやめてしまった。わたし産めません、と、ぎゅっと目をつぶった。つぶった目を開けようとしない。分娩台にいながら産むことを拒否する、ふつうでは考えられない展開だ。助産師さんが説得すること、30分。ようやく気をとりなおして出産にとりくんだ。それでも産めなくて、自然分娩から帝王切開にきりかえたそうだ。
「無事に生まれてきてよかったですね」
「お母さんが産んでくれないと、赤ちゃんもこまりますもんね」
「生まれるんじゃなくて産むんですね、お産って」
「そうそう。産まないと」
お母さん自身、自分の意思をもつことが大切なんだ。いいかげんにやっているお母さんなんて、ひとりもいない。みんな、悩んだり考えたりしながら現実と向きあっているんだ。と、あらためて思った。きょうのそうすけは、お風呂でおしっこしたり、晩ごはんのときにもだっこをせがんで泣いたり、まあ、たいへんだったけれど、うけて立とうという気になった。なったと思う。