3月21日、病児保育。(生後87日)

 朝、そうすけと、だんなと、山手線にのって飯田橋に向かった。病児保育の説明会に参加するためだ。病児保育とは、子どもが病気で保育園にかよえなくなったときに、保護者にかわって病気の子どもの世話をするしくみのことをいう。仕事場の先輩ママからきいた話だが、実際、子どもはしょっちゅう熱を出すものらしい。とくに入園したてのころは、月に1度や2度はあたりまえ、なかには、1週間のうちになんども熱を出す場合もある。それは、大切な打合せの最中であろうが、仕事に出かける間際だろうが、関係ない。子どもが集団生活をはじめて免疫をつけるまでは、だれもが経験する試練だという。ならば、いざというときにもあわてないように先手をうっておこう、というわけだ。

「おはようございます」
改札を出て、説明会場のあるビルに近づくと、ピンクのエプロンをした笑顔のスタッフさんたちが待っていて道を誘導してくれた。なんとホスピタリティが高い会社だろう。赤ちゃん連れで到着が遅れている家族を配慮して、説明会は10分ほど遅れてはじまった。NPO法人の会社だそうで、病児保育の理念やサービスの概要、料金などの具体的なシステムまで、わかりやすいパワーポイントの資料をつかって説明が行われた。さらに、保育を担当するシッターさんの自己紹介があった。保育士の資格をもっていて幼稚園や保育園ではたらいたことがある人や、子育て歴12年以上のベテランママさんなど、みんな経験豊富で相談にものってもらえそうだ。この会社では、ベビーシッターとして活動するためにきびしい基準をもうけているそうで、たとえ保育士の資格や子育て経験がある人でも、10人にひとりくらいの割合でしか採用をしない方針らしい。

 パパさんやママさんが説明に集中するいっぽうで、子どもたちは、おもちゃであそんだり、走りまわったり、マイペースだ。そうすけも、好奇心100%でまわりをきょろきょろ観察している。40人ほどのおとなと20人ほどの赤ちゃんがひとつの部屋にいることを、ふしぎに思っているようだ。赤ちゃんはそうすけより月齢が大きな子ばかりなので、なおさら興味シンシンだ。

 説明が終わると、個別の相談会がはじまった。保育園から急に呼びだされた場合にも、シッターさんにおむかえを依頼することができる。その際のカギの受けわたしのルールや、自宅での病児保育は宅配便がきても玄関を絶対に開けないなど、赤ちゃんの健康だけでなくセキュリティを優先しているところがとても良心的だと思った。ただひとつ、残念なことがあった。入会できるのは満6か月を過ぎた翌月1日からとのこと。わたしが会社に復帰する4月からサービスを利用することはできないのだ。7月1日を、待つことにしよう。