3月7日、お気に入りの椅子。(生後73日)

 また、背中スイッチが起動した。そうすけを寝かせたとたん、顔いっぱいに口を開けて泣いている。ああ、ふりだしにもどっちゃった。気合いを入れなおしてだっこする。このごろ、こんな状況をくりかえしてばかりいる。ぐずったときにだっこして、あやして寝かせると、すぐにまたぐずりだしてしまうのだ。寝かせるよりもすわらせてあげたほうがごきげんみたいだ、と、だんながいう。首がすわりつつあるのをそうすけも実感していて、よろこんでいるんじゃないかと。なにをひらめいたのか、だんなが新しいグッズをとりよせた。宅配便の大きなダンボール箱が届いた。出てきたのは、やわらかいポリウレタンでできたベビー用の椅子だ。あざやかな黄色がかわいい。椅子にはちょうど股のあたりにもポリウレタンでできたでっぱりがあって、すわると腰をすっぽりとつつんで固定してくれる。うーん、よくできているなあ。これなら、ここちいい。

 さっそく、ぐずっているそうすけを、すわらせてみる。あれあれ、たちまちぐずりがおさまった。ニコニコだ。まだ首が完全にはすわっていないので、すこしのけぞっている。えらそうだ。ちっちゃな王さまにも見える。アタッチメントのテーブルをつけてみると、どうだろう。ごきげん、ごきげん。いまは必要ないけれど離乳食をたべるようになったら、大活躍しそうだ。いっしょにごはんをたべるところを想像するだけで、ワクワクしてくる。いまはそのテーブルの上に、ガラガラやお気に入りのおもちゃを置いてみよう。しばらく様子を見ていたが、残念、おもちゃを手にとることはなかった。というよりも、できなかった。首がすわっているわけではないので、どうしても重心が後ろにズレてのけぞってしまうのだ。がんばって手をのばしても、おもちゃにはとどかない。そうすけが、また泣いた。この椅子を活用するには、ちょっと早すぎるかも。

 とはいえ、この椅子が活躍する日まではあっという間だろう。すでに、足を入れるところによゆうがなくなるほど、太ももがぷっくら、からだもどんどん大きくなっている。いま着ている肌着もぴちぴちで、そうすけが足をいきおいよく動かすとボタンがはじけてはずれることも。腕も気がつけば、7分袖みたいに見えるではないか。その成長のスピードに目をみはるばかりだ。