4月10日、ちょっと冒険。(生後107日)

 きょうも、朝から冷えこんでいる。しかも、小雨がぱらついている。こんな日には、家でゆっくりすごしていたくなる。が、このごろのそうすけは、部屋のなかでまる1日すごすとストレスがたまってしまうようだ。こっちを見て手足をばたばた動かしながら、どっか行きたい、とアピールする。しばらくそのままにしておくと、泣きはじめる。いったん泣きだすと、どんどん感情が高まってきて、大爆発してしまう。この爆発を一歩手前でとめるために悪戦苦闘。まるで、時間制限のあるスポーツをやっているような感覚だ。

 午後2時すぎ、遅めのランチに出かけることにした。そうすけにも、わたしにも、ちょうどいい気分転換だ。夕方にはまた雨がふるらしい。それまでにもどればいい。おむつや、おしりふきや、タオルの準備をして、お出かけ用の服にそうすけを着がえさせる。この時点ですでに、そうすけは外出に気づいているみたいだ。ごきげん、ごきげん。さっきまでとはちがうテンションで手足をぱたぱたしている。よろこびの舞いだ。さっそくだっこして、ベビーカーにのせると、はみ出しそうないきおいだ。じゃあ、おさんぽに行きますか。

 ベビーカーでカタカタ、目黒川沿いをすすむ。きょうは、橋をわたってみようか。そうすけに話しかけると、いつも直進していたところを左へ曲がってすすんだ。ちょっと冒険してみよう。とすすんでみたけれど、こっちにベビーカーでランチできる店ってあるんだっけ。ちょっぴり不安になりながらも、五反田駅のほうに向かってすすむと、ホテルの1階にあるレストランの店員さんとドア越しに目があった。だめもとでベビーカーでも入れますかときいてみると、もちろん、と店の奥のテーブルを案内してくれた。ベビーカーを横に置いてもスペースによゆうがあるからうれしい。ここも、行きつけになりそうだ。
「こんにちは、ご注文はお決まりですか」
「はい、あ、声がヘンになっちゃっていてすみません」
「のどのかぜですか、たいへんですよね」
「ほかは調子よくなったんですが、声だけがぜんぜん治らなくって」
「ですよね。わたしもこの春、なりましたもん」
ショートカットのウエイトレスさんと、かぜ談義で盛りあがった。このところ寒暖差がはげしいから、かぜをひく人が多いらしい。せっかくかぜが治ったけれどのどがまだ本調子じゃないんですよね、とウエイトレスさんも話している。季節のかわりめのかぜには、とくに気をつけないと。