4月2日、よゆうの笑顔。(生後99日)

 ひと雨ふった翌日には、もう葉桜の季節がはじまっていた。自然はこんなにもあっさりと、かわってしまう。そうすけの成長を見のがさないように気をつけなさい。と、どこからか声がきこえてくるようだ。いつもいつのまにか、つぎのステップがはじまっている。そして気づくたびに、あわてている。ふりかえるだけでは意味がない。あしたのことを意識してすごそうと、自分にいいきかせているのだが。来年のいまごろは、どんな気もちで花見をしているのだろう。

 きょうの午後もおさんぽをしたが、そうすけの顔にはおとといのような感動の表情は見られない。えっ、もう桜並木の景色になれちゃったんだ。行きかう人のほうに興味があるようだ。ところどころでベビーカーをとめて、写真をぱちりぱちり。そうすけはリラックスしている。どうやら、カメラ撮影にもすっかりなれてしまったみたいだ。まだ生後3か月の赤ちゃんが、生まれたばかりのころにはなんにでもびくびくしていたあの赤ちゃんが、これほどまでになるなんて。

 遅めのランチをたべようと、ベビーカーで入れるレストランを探した。事前に調べておけば、よかったなあ。けっきょく、先日とおなじ焼きたてのパンがたべ放題の店に入ることにした。こんにちはーと、ウエイトレスさんがそうすけに話しかける。にかっと、満面の笑みでこたえる。かわいいーと声をあげて、うっとりするウエイトレスさん。そうすけさんたら、よゆうの笑顔ですな。もしかして店にもなれちゃったのかな。常連のつもりだったりするのかも。

 昼ごはんをたべている途中で、そうすけと目が合った。パンをちぎって口に入れている様子を、じっと観察している。おいしいよーと、ゆっくり話しかけながら口に入れると、ふーんと、いいたげな表情を見せた。そして、パンではなく自分のげんこつをおいしそうにしゃぶっている。歯の存在が気になるのか、パンを口に入れてみたいのか。ほんとうの理由はわからないが、食事というものに興味をもちはじめたのはまちがいない。離乳食はまだまだ先だが。