4月8日、赤ちゃんラップ。(生後105日)

 さむい。東京の正午の気温は、3℃。4月では、ここ半世紀に経験したことのないさむさだという。テレビのニュースを見ると、新橋駅を行きかう人が取材されている。今朝、雪が降ったんだそうだ。4月の雪。2010年以来だといわれる。これだけさむいと、おさんぽに出かける気も失せてくる。晩ごはんの食材を買いに行かなければピンチなので、どっかで家を出なければならないことはわかっているのだが。夕方には雨があがるときいているので、それまでゆっくり待つことにしよう。そうすけとあったかい部屋であそびながら、すごすことにしよう。一見ハッピーな時間帯に思えるが、これには苦労もつきものだ。

 生後3か月あまりの赤ちゃんを気分よくいさせつづけるのは、むずかしい。昼下がりの時間は思った以上にたっぷりある。オアシスに向かって砂漠を歩きつづける旅人のように、夜までの時間がとほうもなく長く感じることもある。赤ちゃんはすぐに気が散ってしまう。集中していられる時間はほんのわずかだ。よろこびそうなものをまわりにたくさん用意して、ほしがればすぐにわたせるようにスタンバイする。音の出るおもちゃがいろいろある。ぜんぶお祝いのプレゼントでもらったものだが、こんなにたくさんの種類があるんだなあとびっくりするほどバラエティにとんでいる。ひとつずつ順番にあそんでいけば、よゆうで夕方までの時間をすごせる。しかし、そんなにうまくはいかないのが世の常だ。おもちゃであそぶ、ということ自体に興味をもたないことさえある。

 そうすけは歌をうたうとよろこぶのだが、あいにくまだ声が出ない。そこで考えたのが、オリジナルのラップ、赤ちゃんラップだ。しわがれ声でも、それなりにいいカンジが味わえる。そうすけちん、ちきちきちん、そうすけちん、ちきちきちん、そうすけそうすけ、それゆけそうすけ。ちきちきちん、の、ちん、のところでそうすけはよく笑う。このリズムがたいへん気に入っているようだ。いまでは泣くたびに、赤ちゃんラップであやしている。ラップのリズムにのせて友人からもらったぬいぐるみのわんちゃんが踊りだすと、テンションMAXだ。無謀と思えるほど、ばんばん手足を動かす。その表情がたのもしい。