保育園の帰り道、そうすけといっしょにスーパーに立ち寄った。きょうの夕ごはん、なにがいいかな。もちろん、そうすけの返事はない。ベビーカーのなかからじーっと、まわりの様子をうかがっている。以前は待つのがいやで泣きだしたこともあったが、このごろは買いものによくつきあってくれる。食材に興味がわいてきたのかもしれない。きょうはそうすけがのむ野菜スープをつくる日ではないのに、きゃべつ、じゃがいも、たまねぎ、にんじん、と買いものかごに野菜をどさどさ入れてしまった。そうだ、保育園でたべてきたんだったね、ごめんごめん。いまはまだ1日に1回のペースでたべているから、つくらなくてもだいじょうぶなのだ。わたしのように、いままでまともに自炊をしてなかった母親にとっては、離乳食の期間はモラトリアムをあたえられた気分。料理のレパートリーがすくないので、そうすけがもりもりたべるようになるまでにはふやしておこう。旬のものをおいしくたべたい。食生活をあらためるチャンスだ。
家に帰って、野菜スープの準備をはじめる。きょうは、そうすけがのむためではなく、わたしが試食をする。素材の味だけでどこまでおいしくなるのか、ためしてみることにした。子どもの味覚センサーは、おとなの3倍もあるといわれている。ということは、わたしがヘンだと感じた味は、そうすけにとってはとんでもなくヘンな味に感じてしまうわけだ。わたしの味覚にまちがいがなければ、の前提になるが。とにかく、おいしいスープをめざしてつくってみよう。素材にもこだわって、新じゃがいもと新たまねぎをつかってみた。野菜のあまみが出てのみやすいスープになるはずだ。実際につくってみると、昆布と野菜だけなのにうまみがたっぷりとけだしてしっかり味がついている。調味料がなくても十分おいしい。でも、ちょっとたまねぎが多すぎたかも。次回つくるときにはバランスに気をつけよう。野菜スープの味はわかったので、豚肉をくわえて味噌仕立ての豚汁風にする。おとな向けのバリエーションも、もっとふやそう。
野菜スープといえば、以前ダイエットのためにつくっていた時期がある。そのころとほとんどかわらないレシピなのに、そうすけがのむとなると、まるではじめてつくる気もちになる。そして、結婚する前にだんなのために料理をつくっていたあのころのドキドキした気もちがよみがえってくるのだ。