6月28日、便秘とのたたかい。(妊娠13週2日)

 ぽっこり、おなかが張っている。ひどい便秘だ。もう5日以上、ずっと出ていない。納豆やヨーグルトをたべたり、食物繊維を意識してくだものや野菜をとったり、心がけてはいるのだが。いっこうによくなる気配がない。薬をのむのはニガテだけれど、ためらっている場合じゃない。先日婦人科で処方してもらったマグラックス錠をのんで、しばらく様子をみてみることにしよう。
 マグラックスって、どんな薬だろう。
薬といっしょにもらった説明書を読んでみる。マグラックスは、腸に水分を引きよせ、便に水分をあたえて、やわらかく、出しやすくする。副作用がすくなく、腸をつよく刺激することもないので、腹痛や下痢を起こしにくい。妊娠中の便秘の改善によくつかわれているそうだ。うれしいことに、習慣性がほとんどないため、継続してのみつづけても効果が落ちることがないという。
 あ、きた、きた。
チャンスをのがしてはなるまいと、すかさずトイレに入った。なのに、これから30分以上にもわたる長いたたかいがはじまろうとは。きた、と思ったのもつかの間、するりと出てこない。いや、完全にふさがれているようだ。かたすぎて、どこかにひっかかっている。シャワートイレの水力をすこしずつ上げてみる。びくともしない。いきんでみる。どこまで、いきんでもいいのだろうか。ビクビクしながら、おなかにぐっとちからをこめる。全身に汗がふきだしてきた。にぎっていたハンカチで額をふく。ファンデーションがとれてしまった。でも、いまは気にしている場合ではない。呼吸をととのえて、もういちど挑戦する。シャワートイレのちからも借りてみよう。ふんばれ。ふんばれ。水力を最強にする。なんどかいきんでいるうちに、ようやく、かたまりが動きはじめた。涙が出てきた。便秘ごときで、なんでこんなに大さわぎしているんだ。ぽっとん、と音をたてながら、かたまりが巣立っていった。汗と涙だけを、肌に残して。
 なぜ妊娠すると、便秘になりやすいのか。
原因は大きく分けると2種類あるらしい。1つは、妊娠初期に起こるホルモンバランスの変化。黄体ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの分泌がふえる。この黄体ホルモンには、大腸のぜん動運動をおさえるはたらきがあるため、排便がうながされなくなるそうだ。黄体ホルモンは、妊娠4か月ごろまで活発に分泌される。ちょうどいまが便秘になりやすいのも、うなずける。これは、流産を防ぐためのしくみだ。女性のからだは、ほんとうによくできている。2つめは、妊娠後期。妊娠後期になると黄体ホルモンの影響が減るいっぽうで、胎児が大きく成長してくる。すると、子宮が腸を圧迫しはじめる。腸が圧迫されることで排便がさまたげられて、便秘になってしまうのだ。個人差はあるが、だいたい妊娠6か月ごろからはじまるらしい。つまり妊娠中は、ほとんど毎日が便秘とのたたかいだ。この現実から目をそらさず、向きあっていくしかない。