朝から、雨がふっている。きょうは七夕なのに。七夕に雨がふるのは、おりひめとひこぼしが1年ぶりに会って、うれし涙を流すから、とも、いわれるそうだ。台風8号が接近しているくらいだから、号泣しているのだろうか。
雨の日は、床がすべりやすいので要注意だ。今朝いきなり、きけんな出来事に遭遇した。最寄りのJR駅で下りのエスカレーターにのっていると、ジーンズにスニーカーをはいた女性がかけ足で降りてきた。ずいぶん急いでいるなあ、と心配しながら見ていると、案の定、すってんころりん。しりもちをついたままエスカレーターをすべりおちて、5歳くらいの男の子の目の前でとまった。男の子にぶつかっていたら、たいへんなことになっていたかもしれない。
「すみません、すみません」
ジーンズの女性は、横にいたお母さんにけんめいにあやまっていた。お母さんは無言でゆっくりうなずいていた。が、その右手は、男の子の腕をぎゅうっとつかんでいた。さぞかしびっくりしただろうに、男の子も泣かなかった。えらかったぞ、ぼく。雨の日は、走っちゃいけない。スニーカーでも、ころんでしまうくらいなのだ。それでも走る人には道をゆずろう。ドキドキしながら思った。
あれ、おかしいぞ。電車にのってからも、ドキドキがとまらない。雨の日で湿気が多いこともあってか、気分がすぐれない。仕事場まで、ドア・ツー・ドアで約40分。着くまでのガマンだ。新橋で地下鉄にのりかえる。いつものように階段で渋滞している。運よく、すぐのりかえることができた。新橋から虎ノ門までのたった1駅が、ひどく長く感じた。改札を出て、階段をのぼって、地上に出る。ふう、無事脱出。あとは、自分のペースで歩いていこう。
仕事場のデスクでメールをチェックしているうちに、むくむく元気がわいてきた。きょうもぼちぼち、がんばりますか。午後からはじまる打合せの準備をしよう。ものを考えたり書いたりしていたら、だんだん落ちついてきた。