8月23日、さいごのチャンス。(妊娠21週2日)

 9時半から、妊娠検診だ。きのうは、赤ちゃんの名前をネットで調べているうちに、夜ふかししてしまった。バタバタと婦人科へ急いだ。母子健康手帳と妊婦健康診査受診票、診療予約カード、そして健康保険証を、いつもどおり受付に提出した。よしよし。受診票も切りとって、家で記入してきている。
「8月は2回めですので、健康保険証は出さなくてもいいですよ」
「あ、そうだそうだ」
3週前にも行っていたんだっけ。検尿をとって、血圧と体重を測って、名前をよばれるまで待つ。ウトウトしはじめるとすぐ、看護師さんによばれた。

 経腹エコー検査がはじまった。モニターはだんなに向いていて、わたしからは見えない。先生とだんなの会話をききながら、思いめぐらせる。
「ここが、あたまですね」
「うわ、もう脳ができているんですね」
「もう小さめの赤ちゃんがいる、と、いってもいいですね」
「どんどん、成長してますねえ」
「ここが、胴まわり」
「この、黒く見えるのは、なんですか」
「胃、ですね」
「胃ぶくろかあ。お、おお、背骨が太くなったなあ」
「しっかりしてきましたね。ここが、足ですね。あれれ。よく動くから、測りにくいんですよね」
きょうも、よく動いているようだ。そうすけは、きょうも元気だ。ところで前回も、胎盤の位置が低い、と、いわれていたけれど、どうなっただろう。
「先生、胎盤の位置、どうでしょうか」
「子宮が大きくなったぶん、胎盤が上にあがってきていますね。このままいけばだいじょうぶ」
「やった。じゃあ、マタニティヨガをはじめても…」
「おすすめは、できません。やっぱり、年齢のことを考えるとね」
「うぅ、だめですか」
「神戸さん、これは最後のチャンスと思って、大切にすごしましょう」
「はあ」
「もう半分すぎましたから。ゴールまであとすこしですよ」
さいごのチャンスか。そういわれると、ちゃかついている場合ではないという気もちにもなる。はじめから、先生はヨガをさせないつもりだったのかも。